今年8月、北海道江差町内で路線バスを乗っ取り、「止まったら殺す」などと運転手を脅したとして強要罪に問われた50歳の男に対する判決公判が10日、函館地裁で開かれた。
裁判所は被告に対し、執行猶予付きの有罪判決を言い渡している。
問題の事件は8月12日の午後5時15分ごろに発生している。江差町伏木戸町付近の国道227号線を走行していた函館バスが運行する路線バスが乗客を装って乗り込んだ男に乗っ取られた。
当時このバスには、男と運転手の2人しかいなかったが、男は37歳の運転手に刃物のようなものを突きつけて「函館に行け。止まったら殺す」などと脅迫。運転手はこれに従うかたちで函館方面に向かって走行した。
定時になってもバスが到着しないことから、営業所が無線を使って連絡を試みたところ、運転手ではない人物が「このバスは今、俺が乗っ取っている」などと宣言したため、バスジャックに遭ったものと判断。110番通報を行った。
バスはその後の捜索により、松前町札前付近の国道228号線を走行しているところを北海道警・松前署のパトカーが発見。国道沿いの公園に誘導した上で署員約10人が車内に突入。男を逮捕している。
10日に開かれた判決公判で、函館地裁の伊藤聡裁判官は「被告は犯行当時、酒に酔った状態だった」と指摘した。
その上で「犯行は飲酒の影響を受けたものであり、計画的なものではなかったが、鬱憤を晴らすためだったという犯行動機は短絡的かつ自己中心的。これは厳しい非難に値する」と述べ、被告に対して懲役1年6カ月(執行猶予4年)の有罪判決を言い渡した。