寝坊をリカバリーするために信号無視…実刑判決

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寝坊した遅れを挽回するために、赤信号を無視して高速度で交差点に進入し、青信号に従って進入してきたクルマに激突、2人を死傷させたとして危険運転致死傷罪に問われた男に、裁判所は懲役5年6カ月の実刑判決を言い渡した。

この判決公判は6日、大分地裁で開かれた。

問題の事故は今年5月11日に発生している。同日の午前6時35分ごろ、庄内町庄内原付近の国道210号線で、30歳の男が運転する普通トラックが信号待ちの車列を対向車線側から追い越し、赤信号を無視して高速度(80km/h)のまま交差点内に進入した。

交差点には青信号に従って進入した43歳の女性が運転する軽自動車がいたが、トラックはこの軽自動車の側面に激突。軽自動車は運転席付近を中心に大破した。

この事故で軽自動車を運転していた女性が脳挫傷で死亡。同乗していた19歳の少年も頭を強打して一時は意識不明になるなど、全治5カ月あまりの重傷を負った。

警察ではトラックを運転していた男を業務上過失傷害の現行犯で逮捕。女性の死亡が確認された後は容疑を同過失致死傷に切り換えて捜査を続けていた。

男は早い段階で信号無視の事実を認めたが、事故の目撃者が「トラックは自分のクルマを対向車線側から強引に抜いて行った」と供述。男をさらに追及したところ、意外な事実が明らかになった。

実はこの男、交差点の手前約140-150m付近で交差点の信号が赤に変わったことを認識していたが、当時クルマがいなかった対向車線に出た上で再加速し、信号待ちの車列を追い越して強引に交差点を突破しようとしていたという。

これについて男は「大分市内の配送先に午前7時までに到着しなくてはならず、スピードを落としていると確実に遅れると思った」などと供述。故意に信号を無視しようとしたことを認めた。

警察では「事故は過失でなく、故意によって発生した」と判断。送検の際に容疑を危険運転致死傷に変更。検察も故意犯であることを認め、同罪で起訴していた。

判決公判で、大分地裁の鈴木浩美裁判長は「被告は交差点の手前約140mという、十分に停止可能な地点で赤信号を認識しながら、停止すると配送の予定時刻に遅れると考え、信号待ちのためにすでに停止していたクルマを対向車線側から追い抜いた」と指摘した。

その上で「配送に遅れを生じさせることになった、そもそもの原因は被告本人の寝坊であり、これを挽回するために信号無視を故意に行うばかりか、高速度を維持したままで交差点に進入するなど、犯行態度は無謀かつ危険、そして悪質である」と認定した。

そして「反省はしており、賠償もなされる予定」として情状の酌量も合わせて認め、懲役7年の求刑に対し、懲役5年6カ月の実刑を命じた。

なお、大分県内で危険運転致死傷罪での判決がなされるのは今回が初めて。

《石田真一》

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