今年9月に裁判所の職員を装い、違反者5人から現金を騙し取った事件で、これに関与したことを交通違反のもみ消し詐欺容疑で逮捕された男が認める供述をしていた。茨城県警が11日に明らかにした。
警察では男を厳しく追及するとともに、被害にあった違反者5人にも男の写真を見せるなどして、同一人物かどうかを調べたいとしている。
茨城県警・水戸署によると、詐欺容疑で逮捕されたのは、宮城県仙台市若林区内に在住する54歳の男。直接の逮捕容疑となった事件は今年9月、ひたちなか市内に在住する42歳の女性に対し、「自分が交通違反(飲酒運転)のもみ消しを行ってやる」と称し、罰金相当額の半額にあたる15万円を騙し取ったというもの。
男は現金を受け取った後に姿を消し、女性の元には裁判所への出頭要請もあったため、この段階で騙されたことに気づき、警察に被害届を提出。警察では公務員なりすまし詐欺などで十数件の前科がある男が容疑に関与したと判断し、全国に指名手配していた。
この結果、今月10日に宮城県警・仙台南署が男を発見して詐欺容疑で逮捕。同日夜までに身柄は水戸署に送られ、11日午前から本格的な取り調べを開始した。
取り調べで余罪を追及された際、男は「9月下旬に起きた裁判所で起きた事件にも自分は関わった」と供述。これが9月28日に水戸地裁で起きた詐欺事件を差すものだということもわかった。
この事件は9月28日朝、水戸市大町1丁目にある水戸地裁で発生している。交通違反の略式手続きのために訪れた21歳から60歳の男女5人の違反者に対し、裁判所の職員を装った50歳ぐらいの男が近づいて「今日は別室で行う」と称して、地裁2階にある当事者待合室に連れて行き、そこで罰金相当額(合計125万円)を騙し取った疑いが持たれている。
「50歳ぐらいの男」、「法律や裁判所などの業務に詳しい」などの点が今回逮捕した男と合致しており、同日までに連絡の取れた数人の被害者に対し、男を含めた数人分の写真確認を依頼したところ、いずれも今回逮捕された男の写真を選び、「似ていると思う」などと証言したという。
警察では男をさらに追及。他にも同様の詐欺を行っていないかを調べる方針だ。