【神尾寿のアンプラグドWeek】ボーダフォン新社長就任…「まずは2位」

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さる8日、都内のホテルで、12月1日付けでボーダフォン新社長に就任した津田志郎氏初の記者会見が行われた。

今回の記者会見は、すでに冬商戦向けの3G新端末・新サービスが発表済みであったこともあり、津田氏の持つ考えやビジネス展望を話す“所信表明”という位置づけ。津田氏はドコモの社長候補と見られながら、今年8月にドコモからボーダフォンに転身した経歴の持ち主であり、ドコモ時代の手腕を業界3位のボーダフォンでどういかすのかが注目されている。

会見の冒頭、津田氏は「(J-フォンから)ボーダフォンになり、これまではコスト削減を行ってきた。しかし、これからはリカバリーの時期。携帯電話端末や基地局設備の国際調達などコスト削減も継続するが、一方で収入増につながる施策に転換する」と語り、第3世代携帯電話(3G)での出遅れを取り戻す必要性を強調した。

ボーダフォンへの社名変更前の02年から03年前半まで、同社は第2世代携帯電話での写真付きメールサービス「写メール」のヒットで大きく躍進。一時は累計シェアでKDDIグループのauを追い抜き、「業界2位」の座を手にした。

しかし、ボーダフォン体制への急激な転換によるサービス・料金施策面での少なからぬ混乱や、第3世代携帯電話シフトへの遅れから、現在は1位のドコモはもとより、2位のauに対しても累計シェア、純増数で水をあけられている。

「J-フォンからボーダフォンに体制が変わるとき、ブランド力の繋がりが薄かった。今後は(ボーダフォングループ全体での)F1やサッカーへのスポンサー活動を通じて全体的なブランド認知度をあげると同時に、新商品・新サービス・新たな料金プランといった部分で市場競争力を高めたい」(津田氏)

特に津田氏が注目しているのが写メールの成功だ。写メールは一時J-フォン(当時)のブランド力向上に大きく役立ったが、「他キャリアがカメラ内蔵ケータイを発売することで独自性が薄れてしまった。今後は(写メールと同じような)新しいサービス提案が必要だ」(津田氏)。

しかし、タイムリミットもある。2006年夏頃に導入が検討されている「番号ポータビリティ」だ。携帯電話番号を変えずにキャリア変更が可能になるこの制度が、携帯電話キャリアにとって大きな正念場になっている。

「番号ポータビリティ対策の根本はお客様に対するサービス向上である。(その上で)ブランド力を向上させるヒット商品、ヒットサービスが必要」(津田氏)

具体的な計画は示されなかったが、他社と同様、05年後半から06年にかけてのタイミングに競争力のある新サービス・新商品があると認識しているのは間違いないだろう。

「反転のきっかけをつくり、業界2位(のau)をキャッチアップしたい」(津田氏)

質疑応答では、終始、津田氏が誠意と熱意のある回答を行った。会見の最後には改めて「ぜひ応援していただきたい。精一杯やっていきたいので、ご期待ください」と語り、記者席からは拍手があがった。

今冬、記者はボーダフォン社員の方とお話しする機会が度々あったのだが、そこでも社内の士気が目に見えて向上しているのが感じられた。

ボーダフォンは今冬の新機種で海外メーカー製の携帯電話やBluetooth機能を積極的に採用した。サービス面でも、同社が強みとするメール機能で添付ファイルサイズを拡大し、超流通モデルを使った大容量コンテンツサービス「Vodafone Live! BB」を開始するなど、積極姿勢を打ち出している。

津田氏は今後も、3G端末のリファインや、他社にない独自性のある新サービス展開が必要だと話す。

かつてのJ-フォンは、ドコモやKDDIとは異なる革新性と若々しさが魅力だった。自動車メーカーでいえば、一時期、ホンダのようなブランドイメージを持っていたのである。津田新社長による新生ボーダフォンが、再び「ケータイ業界のホンダ」のような存在になることに期待したい。

《神尾寿》

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