従犯の少年に厳罰を認めず…少年法の改正以後、初の判断

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今年6月、バイクを奪う目的で故意に追突事故を起こし、同乗していた16歳の少年を死亡させたとして、強盗致死傷罪に問われた17歳の少年に対する判決公判が14日に大津地裁で行われた。

この少年は少年審判を経て地裁に逆送されてきたが、地裁では「刑事処分ではなく、保護処分にすべき」と判断。家裁に移送する決定を言い渡している。

問題の事件は今年6月23日に発生している。同日の午前2時40分ごろ、大津市晴嵐1丁目付近の県道で、走行していた2人乗りのバイクに対し、後方から接近してきた乗用車が側面から衝突してきた。

クルマとの衝突によって、バイクは歩道側に弾き飛ばされ直後に転倒。乗っていた2人が路上に投げ出された。クルマも歩道に乗り上げる状態で停止。乗っていた複数の男はクルマを放置し、その場から走って逃走した。

バイクに乗っていた2人は近くの病院に収容されたが、17歳の少年が肩の骨を折る全治3カ月あまりの重傷。頭を強打したことで事故直後から意識不明だった16歳の少年は事故から約1カ月後に意識を回復しないまま死亡している。

現場に放置されたクルマから京都府城陽市内に住む少年2人の指紋が検出され、この2人が事件に関与したと判断。強盗致死傷容疑で逮捕・起訴されて家裁で少年審判を受けていたが、罪状が悪質と判断されて検察官送致(逆送)となり、地検が通常起訴していた。

14日に行われた判決公判で、大津地裁の大西良孝裁判長は被告の少年は共犯的な役割だったことに触れ、「凶悪な犯行だが、バイクを奪うという考えは主犯格の共犯少年(18歳=別審理中)の発意、主導によるもの」と指摘。「被告の少年は主犯格の少年に恐怖感を抱き、その指示に逆らえなかった」とも認めた。

その上で裁判長は「被告に対しては刑事処分をもって臨むよりは、保護処分として更生の機会を与える方が適当である」として、家裁に移送する決定を行った。

少年法の改正により、故意犯として起訴された場合には、少年であっても厳重な刑事罰が与えられる傾向にある。

そういった中で、強盗致死罪で逆送されてきた被告の責任(主犯か、従犯か)を切り分けて、従犯であることを理由に刑事罰を命じず、保護観察とするために家裁へ移送するという判断が行われるのは、少年法の改正以後では今回が初のケースだという。

《石田真一》

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