【D視点】キャデラック STS …バウハウスが造った夢のピラミッド

自動車 ニューモデル 新型車
【D視点】キャデラック STS …バウハウスが造った夢のピラミッド
【D視点】キャデラック STS …バウハウスが造った夢のピラミッド 全 15 枚 拡大写真

★抽象的概念から生まれた現代のピラミッド

日本ゼネラルモーターズ(GM)は、10月12日に新型キャデラック『STS』を発表した。『セビルSTS』の後継で、キャデラックのラグジュアリー・パフォーマンス・セダンとしては25年ぶりの後輪駆動モデル。

キャデラックSTSは、高級車としての乗り心地と室内空間、卓越した走行性能を追及したとしているが、デザインを見る限りメーカの意気込みを信じて良さそうだ。

 2003年の東京モーターショーのGMブースに、ボディはもちろんすべての部品が“角々な”、豆腐を大きな包丁でザクッと切り込んで仕上げたようなデザインの『CTS』、『SRX』、『XLR』が出品された。
 
 「新しいことをやるにはこれくらいのインパクトが必要」ということは理屈では分かっていても、感覚的にはついていけず、キャデラックがはたして本気なのか疑ってしまった。

このショッキングなデザインも、今やキャデラックの個性として市民権を得た。シリーズのデザイン経験に裏打ちされたSTSは、高級車らしい風格もでて、カッコ良くさえ見える。完成度も高く真打登場というところだ。デザインの純粋さやインパクトではCTSに一歩譲るが、物事の熟成の順番としてこうなるのは仕方が無い。

デザインの歴史を見ると、一方の極に自然を模倣した具象的で有機的なデザインがあり、もう一方の極として自然と対峙しながら人間特有の抽象的概念から生まれた無機的なデザインがある。

抽象的デザインの代表格としては、その巨大さと明快さでエジプトのピラミッドが挙げられる。同じく巨大な工業製品であるキャデラックSTSもクルマのデザイン史における一方の極としてピラミッドに匹敵する労作と評価したい。

D視点:デザインの視点
筆者:松井孝晏(まつい・たかやす)。東京造形大学教授。元日産のデザイナーで、『Be-1』をプロデュースした。

★抽象的概念から生まれた現代のピラミッド
★“ネオ”アメリカンドリームはキャデラックから
★キャデラックの復活はバウハウスの発展

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 続きを読む

《松井孝晏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  2. 「復活まじうれし!」「全色欲しい」新型スズキ『GSX-R1000』発表に、SNSは話題沸騰!
  3. トヨタ「クラウン」「アルファード」など21車種、64万台超の大規模リコール[新聞ウォッチ]
  4. 約10万円で200km以上走るEVバイク登場に「現実的な選択肢」、ベトナムから日本上陸に期待の声
  5. ホンダ『N-ONE e:』の価格を予想、280万円台からか…実質ガソリンモデル並み?
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
  5. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る