発売後、青山通りで初めて生『マークX』を見たときは、しばらくずっとBMW『3シリーズ』だと思っていた。直前に割り込んできたその後ろ姿が3シリーズ以外には見えなかったのである。
でも、乗るとBMWにはまったく似ていない。たしかに運動性能はとてもいい。ノーズが軽くて、身のこなしが軽快だ。トヨタのセダンとしてはもっともファン・トゥ・ドライブだと思う。
硬い舗装路面を畳のように感じさせてしまう“当たり”の柔らかさは、やはりトヨタ車に特有だ。『プログレ』や『ブレビス』のようなおじさん6気筒セダンの、サスペンションのアンコを薄くした感じ。
3リッターモデルに3日間乗っていたが、乗ってて気持ちよかったし、つまらなくない。ボクはけっこう好きだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
下野康史| モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。