被告の証言を重視は誤り…スピード違反で逆転有罪

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速度超過違反で検挙された男が「警察の主張する速度では停止できなかった」と無実を主張している事件で、仙台高裁は20日、無実を認めた一審の判決を破棄し、違反事実はあったと認め、男に対して罰金6万円の支払いを命じる逆転有罪判決を言い渡した。

問題の事件は2003年5月13日に発生している。同日の午後5時ごろ、遠野市小友町付近の国道107号線で、岩手県警が交通検問を実施していたところ、岡山県岡山市に在住する40歳の男が制限60km/hのところを、35km/hオーバーの95km/hで走行したとして摘発を受けた。

当初この男は違反事実を認めて書類にサインもしていたが、後日になってから「本当に95km/hで走行していたのなら、警官の指示通りには停止できるはずがなく、実際の速度はもっと低速だった」と主張して容疑を否認。略式による決着ではなく、正式裁判を求めた。

一審の遠野簡裁は昨年8月、「60km/h程度で走行していた」、「95km/hで走行していれば指示通りに停止できない」という男の主張を全面的に認め、男に無罪の判決を言い渡した。

これに対して検察庁・盛岡地検は「速度計測器の精度には踏み込んでおらず、被告の証言ばかりを重視した点に重大な誤りがある」として控訴。仙台高裁で審理が続けられていた。

20日に行われた控訴審判決公判で、仙台高裁の田中亮一裁判長は。「速度計測器の精度については正確で間違いがないにも関わらず、一審判決は速度計測器の精度については判断の要因として考慮していない」と指摘。

その上で被告の男による「95km/hで走行していれば指示通りに停止できない」という主張については「被告は測定後、前方にパトカーを目撃したことで、停止指示が行われる以前に減速を開始していた可能性が高く、警察官の指示が出てから初めてブレーキを踏んだという被告の証言には客観性や信用性がない」と、さらに指摘した。

そして「一審では停止指示が行われてからブレーキ操作を行い、停止するまでの距離については被告の弁解を前提に算出している。それを重視した結果、一審は判断を誤ることになった」として、一審の無罪判決を破棄。罰金6万円の支払いを命じる逆転有罪判決を言い渡した。

《石田真一》

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