トヨタ自動車の社長昇格が内定した渡辺捷昭副社長は1942年生まれの62歳。慶大経卒業後、64年に旧トヨタ自動車工業に入社、92年に取締役に就任した。
トヨタの競争力の源泉である調達部門を中心に、トヨタ生産方式を推進する生産管理、経営企画、渉外など中枢部門に従事。また事務系としては珍しく元町工場長も務めている。
調達本部を担当した専務時代の00年夏にはトヨタの関係部門とサプライヤーが一体で進める原価低減活動「CCC21」を策定した。CCCは、「コンストラクション・オブ・コスト・コンペティティブネス」の略で、コスト競争力の再構築を目指した画期的な活動として現在も推進されている。
従来の原価低減は、既存の部品からどれだけコストダウンするかという「相対」目標型だったが、CCC21では各部品やコンポーネンツについて「世界で最も高い品質、価格競争力をベンチマークして」(渡辺氏)原価低減を目指す「絶対」目標型とした。
設計、生産技術部門も開発段階から参画、部品の共通化や流用化も大胆に進めている。CCC21の成果は、今月実施された『ヴィッツ』や06年に予定される『カローラ』『カムリ』の全面改良によって「膨大なコスト低減効果をもたらす」(調達本部幹部)とされる。
こうした渡辺氏の手腕や、トヨタグループおよび政財界にまたがる幅広い人脈が社長昇格を後押しした。02年10月に設立され、トヨタグループ各社や電機、通信、大学などが110社・機関が参加する「インターネットITS協議会」の会長やITSジャパンの理事なども現職で、トヨタのITS推進を担当している。