【神尾寿のアンプラグドWeek】春商戦エントリーモデルの“売り”と“買い”

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【神尾寿のアンプラグドWeek】春商戦エントリーモデルの“売り”と“買い”
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携帯電話業界は年に3つの商戦がある。まず、夏と冬の2大商戦。前者は8月をメーンターゲットとし、7月後半から新機種が投入される。後者は12月のクリスマスシーズンから翌年1月初旬がターゲットだ。

このふたつは「ボーナス商戦」であり、消費者の暖かい懐を狙ったもの。新機能・新サービスが積極的に投入され、ハイエンドモデルが売れる傾向にある。

一方、携帯電話ならではなのが、3月下旬から4月上旬の春商戦、通称「桜商戦」だ。これは4月から新生活に入る学生や新社会人をターゲットにしたものである。この時期は「初めてケータイを買う」子どもたちが新規顧客として入ってくるほか、新生活にあわせた「キャリア乗り換え組」も他の時期より増える。

エントリーユーザーが大量に動く時期であり、キャリアにとってこの商戦の重要性は高い。今年も各キャリアの「春商戦モデル」が発表された。

●NTTドコモ

NTTドコモは第3世代携帯電話(3G)「FOMA」のエントリーモデル「700iシリーズ」4機種を発表した。

ドコモは昨年の春商戦で、第2世代携帯電話(2G)「mova」をエントリーモデルの柱として投入し、3Gのエントリーモデルをぶつけてきたauに負けた苦い経験がある。

ドコモの700iシリーズは、普及価格帯のモデルながら全機種メガピクセルカメラとメモリーカードスロット、音楽プレーヤー機能を備えており、TV電話にも対応する。極めてコストパフォーマンスの高い端末である。

ドコモの春商戦戦略は、他キャリアのエントリーモデルよりもハイスペックな700iシリーズを軸に、ハイエンドモデルの「901iシリーズ」、そして型落ちして値崩れした「900iシリーズ」の店頭在庫も使い、3Gで多層的な価格と性能のラインナップを構築するものだ。

●KDDI au

一方、昨年の春商戦を制したauは、3Gラインナップに5機種の追加を発表。さらに「1−2機種を春商戦に投入する予定」(KDDI広報部)だという。

今回、投入された春商戦モデルはいずれもエントリーユーザーを意識したもので、ベーシックな性能の「CDMA2000 1X」と、高速通信と定額制を実現する最新3Gサービス「CDMA 1X WIN」の両方に新端末が投入された。

昨年の春商戦はCDMA2000 1xが主力だったが、今年はWIN春モデルも投入し、エントリーユーザーのWINへの誘導を行う。

auの春商戦戦略は、優れたデザインと着うたフルなど音楽分野での取り組みを軸にしたブランドイメージでの勝負である。今回の春商戦モデルは「一言でいえば、“カラフル”。ティーン向けデザインモデル『Sweets』だけではなく、全体的に華やかでスタイリッシュ。春らしいラインナップを目指した」(KDDI広報部)という。

春商戦の主役である若年層と女性を中心とする一般ユーザーに的を絞り、端末ラインナップはスペックよりもデザインを重視した布陣だ。

●ボーダフォン

ボーダフォンの春商戦モデルは少々混乱している。同社は昨年冬から「3Gへのシフト」を大きく打ちだし、エントリーユーザー向けとしては安価な海外メーカー製の3G端末をあてる方針だった。

しかし、ボーダフォングループの国際調達プログラムによって開発された新3G端末は、海外の仕様で作られており、特に操作性に対するユーザーの不満が大きい。3Gエントリーモデルは「日本のエントリーユーザー」が満足できる内容ではない。

ボーダフォンは2月1日、2Gの新端末『V603SH』と『V603T』を発表したが、こちらは多機能な“全部入り”端末。誤解を恐れずに言えば、今のボーダフォンは魅力的なエントリーモデルが不在の状況にある。

すでに発表された春商戦のラインナップを見るかぎり、昨年同様、今年の対決軸も「ドコモ vs au」になるだろう。

コストパフォーマンスの高いモデル群を揃えたドコモか、それとも春商戦の特性にあわせてデザインで勝負をかけるauか。新入学・就職市場のユーザーがどちらを選ぶのか注目である。

《神尾寿》

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