直線路での事故で初の危険運転罪

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2004年6月、北海道津別町の町道で21歳の男がハンドル操作を誤り、高速度で走行していたクルマを路外に転落させて同乗者4人を死傷させた事故について、検察庁・釧路地検北見支部は3月29日、この男を危険運転致死傷罪で在宅起訴した。

直線道路で起きた事故としては全国で初めての同罪適用案件となった。

問題の事故は2004年6月10日に発生している。同日の午後5時ごろ、津別町最上付近の町道で、20歳(当時)の男が運転する乗用車が路外に逸脱した上で電柱に激突した。クルマは大破して2人が死亡。運転者を含む3人が重軽傷を負った。

事故当時は雨が振っており、わだちには水たまりができている状態だったが、男は「アルバイトに遅刻する」として、継続的に100km/h以上の高速度で走行。いわゆる「ハイドロプレーニング」に陥った際にハンドル操作を誤り、制御不能のまま路外に逸脱した。

また、事故を起こしたクルマのタイヤは交換時期を超えており、かなり磨耗していたことも判明。運転していた男もタイヤが磨耗していたことは認識しており、警察ではこれらの理由から危険運転致死傷容疑で送検していた。

危険運転罪の適用基準には「制御困難な高速度での走行」というものがあるが、これまでは「カーブを曲がりきれる速度でなかった」など、道路形状を考慮したものが常で、直線路での事故は常軌を逸した高速度である場合や、対向車線への故意進入のみしか規定されていなかった。

危険な運転でありながら、事故発生地が直線路だったため、警察は危険運転容疑で送検したものの、検察が適用を見送った案件もあり、以前から危険運転罪の問題点として指摘されていた。

この事件でも警察は「直線路という(危険運転罪適用に)ネガティブファクターはある」と承知の上で、危険運転致死傷容疑で送検している。検察がどのような判断を下すかに注目が集まっていたが、検察側もこれを支持。

「タイヤが磨耗して滑りやすいことを認識していたにも関わらず、高速度走行を行った」という要因部分が重視され、直線路で起きた事故としては全国で初めて同罪が適用されることになった。

《石田真一》

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