30日、ツインリングもてぎで「インディ・ジャパン300」の決勝レースが行われた。初周からイエローフラッグで幕をあけた波乱のレースは、勝負の大詰めラスト2周に誰もが予測できない大逆転劇が待ち受けていた。
3日間のレースウィーク、「ツインリングもてぎ」には通算10万人ものレースファンが詰めかけ、白熱のアメリカンレースを堪能した。
29日に行われた公式予選では、ホンダ車を駆るダニカ・パトリックが女性としてはシリーズ史初となるポールポジションを獲得か、と思われたが、終盤タイムアタックに挑んだトヨタ勢のエース、サム・ホーニッシュJr. がトップタイムを計測。話題のアメリカ人ドライバー2人がフロントロウに並んでのスタートとなった。
30日、多彩なオープニングイベントの後、定刻午後1時にレースがスタート。2番手のダニカがターン1でホーニッシュJr. を抜き去りトップに立つなど激しいスタートの順位争いが繰り広げられる中で2台のマシンが接触。
レースは、ファーストラップからイエローフラッグで中断されたのを皮切りに、コース上の異物撤去を含め実に8回/62周のフルコースコーションが発生する大荒れの展開。コース上ではしばしば3ワイドのバトルが繰り広げられ、ゴールラインを通過した公式のラップリーダーチェンジだけでも11回に及ぶ大激戦となった。
折り返し地点を過ぎた124周のリスタートで、ダリオ・フランキッティ、ダン・ウェルドン、ブライアン・ハータのグリーン(ホンダ)勢が、チームメイト同士による3ワイドのトップ争いを展開する中、フランキッティがウォールにヒットしリタイア。
レースはフルコースコーションとなり、更にその後のリスタート直後に発生したアクシデントにより再び中断。この間を利用してのピットインで順位が大きくシャッフルされるとともに、50周を残したレースは“燃費との戦い”とも言える様相を呈してきた。
150周のリスタートでトップに躍り出たのは、ホンダ/トヨタ勢の中で孤軍奮闘、一人シボレーエンジンを駆るトーマス・シェクター。
シェクターは、追いすがるカナーン(ホンダ)、ウェルドンを寄せ付けずラスト2周、ホワイトフラッグ直前までトップを快走したがフロントストレートで失速。燃料切れでターン1内側にストップしてしまった。
時を同じくして、2番手を走っていたカナーンがピットイン。こちらも最後まで燃料が持たなかったのだ。ここでトップに立ったのは昨年のもてぎ戦の覇者ウェルドン。
ラスト1周のゴールラインを先頭で通過すると、最後の最後で発生したアクシデントにより振られたイエローフラッグの中、トップでチェッカードフラッグを受け、もてぎ戦2連覇を果たした
注目の日本人ドライバーは、9番手スタートの松浦孝亮(ホンダ)はいったん周回後れとなりながらも最後に追い上げ9位でゴール。最後方からの追い上げを計ったロジャー安川(ホンダ)は、一時は3番手まで順位をあげたが、メカニカルトラブルでリタイヤとなった。
この後シリーズは5月30日の決勝レースまで約1カ月に及ぶスケジュールで執り行われる伝統の“インディ500”月間へと突入する。