4月7日、大分県別府市内の県道で走行中の乗用車が炎上し、3人が死傷した事故について大分県警は4月25日、焼死した男性が杵築市内に在住する76歳の男性であることを明らかにした。
また、出火の原因はこの男性が可燃性の液体を撒き、焼身自殺(無理心中)を図ったことから生じたものとみている。
大分県警・別府署によると、問題の事故が起きたのは4月7日。同日の午後4時ごろ、別府市南立石付近の県道を走行していた乗用車が突然炎上、その後、道路右側のガードレールに衝突した。
運転していた33歳の男性と、助手席に同乗していた23歳の女性は車外に逃げ出したが、後部座席に同乗していた男性は脱出できずに取り残された。
この事故で運転していた男性が顔や背中などにやけどを負う重傷、同乗の女性が打撲などの軽傷、後部座席の男性は焼死している。
クルマは後部座席を中心に著しく燃えており、その燃え方が異常であることから車両の検証を進めた結果、男性が死亡した後部座席付近からベンジンのような可燃性の液体成分を検出した。
また、運転席の男性はこれを浴び、それによって着衣に燃え移った可能性が高くなった。
当初、クルマを運転していた男性は、後部座席に同乗していた男性については「取り引き先の知人、詳しくは知らない」と供述していたが、その後の調べで男性は先物取引会社の社員で、死亡した男性はこの会社を通してコーヒー豆などの先物取引をしていたことがわかった。
死亡した男性はこの会社を通じた取引で数百万円の損失を出しており、事故の起きた日が返済日にあたり、男性は金策に走りまわっていたという。事故は死亡した男性の知人宅などを訪問している最中に起きたらしい。
警察では死亡した男性が可燃性の液体を撒いて自殺を図るか、あるいは金策が上手くいかないことを悲観し、社員らと無理心中を図ろうとした可能性も高いとみて、関係者からさらに事情を聞く方針だ。
また、同乗していた2人からは損失額の返済を強引に迫っていなかったかどうかについても事情を聞くとしている。