新型スズキ『エスクード』(16日発表発売)のサスペンションは前後とも全面的に新設計され、性能向上が図られている。とくにリアサスペンションは、旧型の5リンクリジッドからマルチリンク式の独立型へと大幅に変更された。
サスペンションを全面刷新した狙いは、オンロードにおける高速安定性の強化と乗り心地の向上だ。
旧型モデルは山岳や泥濘走破、渡河といったヘビーデューティな環境下での使用に耐えることを前提に作られていたため、乗り心地やハンドリングより強度を重視した構造になっていた。新型はオフロード色を少し弱め、舗装路や起伏の少ないフラットダートでの走行を重視しているのだ。
「乗り心地は、乗用車としても十分満足できるくらいのレベルに仕上げました。ステアリングの応答性もかなり高い水準にまで持っていけたと思います」(商品企画・秋本伸王氏)
マルチリンク式は構造が複雑なため、岩肌が露出しているようなガレ場や渡河などを繰り返すと、リジッドに比べてジオメトリーが狂いやすいという短所がある。
が、全幅1810mmとワイドボディになり、設計上のゆとりが出たこともあって、オフロード性能を左右するサスペンションストロークは前が旧型比18mm増の178mm、後ろは実に55mm増の215mmと、いずれも増大。
これらはエスクードより大型のオフロード4WDと比べても遜色のない数字であり、走破性自体は旧型より向上しているものと思われる。最低地上高も旧型と同じ200mmを確保している。