名門大学がモンテゼーモロへの学位授与に「ノー」。イタリア中部トスカーナにあるシエナ大学は、このほどフィアット会長のルカ・ディ・モンテゼーモロに名誉学位を与えないことを決定した。
モンテゼーモロへの名誉学位は、数カ月前から文学部・情報科学専攻の教授陣から提案されていたもの。教授の中には、彼の長年の親友も含まれていた。ところが、上部組織である文学部の教授会は2回にわたる討論の結果、先日提案を棄却した。
公式な理由は明らかにされていないが、「地元シエナと繋がりが薄い」というのが決定的理由と見られる。またフィアット会長と兼任しているイタリア工業連盟会長として、昨今のインフレに何ら手を打たないこと疑問視する声があった、とも囁かれている。
1947年生まれのモンテゼーモロは、ローマ大学法学部に加えて、米コロンビア大学の国際商法専攻も卒業している。名誉学位も既にモデナ(機械工学)、ジェノバ(管理工学)、ミラノ(デザイン)の各大学から授与されている。
そんな「学位長者」の彼にとっては、いくらシエナ大学が745年の歴史を誇る欧州最古の大学のひとつであっても、「もはや結構」かもしれない。事実この「落第」について、モンテゼーモロ側からのコメントはない。
いっぽう31日、ウルビーノ大学の社会学部は、地元出身の2輪モトGP王者バレンティーノ・ロッシ(26歳)に名誉学位を授与した。ロッシが与えられたのは「広告および通信」という学位である。イタリアの名誉学位は、たぶんに「学部の明るい話題作り」という声が聞かれる。