最強の防犯装備、キーの再発行制度に敗れる

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警視庁は20日、電子錠の再発行制度を悪用し、不正に入手したイモビライザー解除機能を持ったキー(電子錠)を使って、メルセデスベンツ車を盗み出す手口で2003年秋以降、少なくとも30台以上の被害が出ていることを明らかにした。

大半はセキュリティの甘い韓国内の正規ディーラーを通して再発行手続きがなされているが、日本国内のディーラーを通した再発行も確認されている。

これは警視庁・捜査3課が明らかにしたもの。メルセデスベンツの『Eクラス』や『Sクラス』には、複雑なコードを備え、第三者の複製は事実上不可能とされる電子錠が採用されている。車両側のイモビライザーと交信する機能があり、正規のキーを使わないとドアロックの解除はもちろん、エンジンの始動すらできないという、現時点では最強の防犯システムが組み込まれている。

ところが2003年の秋以降、盗まれるはずのないクルマが盗まれてしまうという被害が相次いだ。盗まれたクルマの一部は後に韓国内で発見されており、暴力団との関係もある窃盗グループが盗難に関与したことが発覚。輸出前のクルマを保管していたブローカーなどが逮捕されているが、その捜査の過程で「盗めないクルマを盗み出す手口」が明らかになった。

盗難グループはあらかじめ盗み出すターゲットとするクルマを決め、クルマのナンバーを控えて運輸支局で「登録事項等証明書」を取得。所有者の住所を割り出して行動パターンを把握するとともに、この人物からクルマを売却されたという書類や輸出証明書を偽造し、メルセデスベンツの正規ディーラーを通して電子錠の再発行を依頼。受け取った正規のキーを使い、クルマを壊すことなく盗み出していた。

キー再発行は各国のインポーターが担当するが、書類のチェックはディーラーレベルで行い、それが正当なものかを判断するダブルチェック機能は存在しなかった。

一番悪用される機会が多かったのは韓国内のディーラーで、現地のブローカーが書類上では「すでに韓国内にある」とされるクルマのキー再発行を依頼。正規の手段を経て入手したキーを国際便で日本に送り、これを使って日本側のグループが盗み出すという手口だった。ただし、日本の正規ディーラーを通して行われたとみられる記録もあり、警察ではこれについても確認を急いでいる。

《石田真一》

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