朝刊から気になるニュース、気になる自動車関連記事をピックアップ、その内幕を分析するマスコミクルージング(原則として朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版を対象にチェック)。
●衆院解散・総選挙、終戦60年、宮城沖地震、そして原油、株価高騰
郵政民営化法案が参院で否決されたことを受け、小泉首相は衆院を解散。9月11日投票に向けた総選挙一色で始まった今年の夏休み。民営化反対派の綿貫民輔、亀井静香氏らは「国民新党」を結成すれば、自民党は反対派つぶしの「目玉候補」としてホリエモンなどの著名人に「刺客」を要請するなど、永田町は与党、野党を問わず連日熱い戦いが繰り広げられている。
こうした中で、8月15日には戦後60年目の終戦記念日を迎え、靖国神社参拝者らが平和への決意を誓った。一方、12日は群馬県上野村の山中に墜落し、520人が亡くなった日航ジャンボ機事故から20年を迎え、遺族らは慰霊登山を行い、追悼と安全への祈りを新たにした。その夜、日航ウィンズ機が福岡空港からホノルルに向かって離陸直後に火を噴くエンジントラブルが発生。乗員・乗客は無事だったが、日航機に対する不信感を一段と募らせた。
また、Uターンラッシュがピークを迎えた16日昼には、宮城県沖で震度6弱の大地震が発生、屋内プールの天井が落下、多数のけが人が出たほか、東北新幹線は不通、首都圏へ戻る乗客は足止めされ、東北道上り線は30キロ以上の大渋滞が長時間続いた。
明るいニュースといえば、野口聡一さんらの「ティスカバリー」が無事着陸(9日)したほか、世界陸上男子マラソンで尾方剛選手が銅メダルを獲得(13日)、2006年ドイツW杯・アジア最終予選で日本がイランに2−1で勝利、雪辱を果たしたことぐらいだろうか。
他方、経済に目を向けると東京株式市場の株価は4年ぶりに1万2000円を突破(12日)。トヨタ自動車も4440円(18日午前)という年初来高値を更新するなど投資家には朗報だが、原油の高騰でレギュラーガソリン価格が1リットル128.6円(15日現在)に値上げされたのは気になるところである。
そんな夏休みだったが、期間中(10−18日)の自動車関連をチェックすると、目立ったスクープ記事も少なく“無風”というのが結論だ。
ただ、「今年度の自動車税、低公害車優遇で57億円減収」(16日・日経ほか)は、今後の税制改正の動きとも連動するため要注意。このほか、トヨタ自動車専務から東和不動産社長に就任した神尾隆氏の人物コラムが12日付の朝日の経済面、翌13日の産経「直球緩球」の囲みインタビューで掲載された。5日には、マスコミ関係者が主催する「神尾隆さんを励ます夕べ」が盛大に開かれたこともタイミングよく記事に結びついたものとみられる。
読み物としては15日から日経夕刊で連載中の蛇川忠暉・日野自動車会長の「人間発見」がリアルで面白い。「世界一」をうかがトヨタの発展の歩みとダブらせると一層興味深く感じる。