今年7月、石川県富来町内の景勝地「ヤセの断崖」から約55m下の海岸に乗用車が転落し、女性1人が死亡した事件について、石川県警は15日、重傷を負いつつも一命を取り留めた71歳の男性が事故発生以前に女性を殺害し、心中を図ったものとして殺人容疑で逮捕した。男は容疑を大筋で認めている。
石川県警・羽咋署によると、問題の事件は7月5日の午前11時35分ごろに発生している。富来町笹波地付近にある景勝地「ヤセの断崖」から乗用車が転落し、約55m下の海岸で大破しているとの通報が寄せられた。
地上からは現場に近づけないため、同署員が海上から接近。車外に倒れている67歳の女性と、車内に取り残されたままになっていた71歳の男を発見したが、女性は発見当時すでに死亡。男性は救出されものの、全身を強打する重傷を負っていた。
その後の調べで、この2人は福岡県福岡市早良区内から同所を訪れていたことが判明。女性の死因は転落によるものではなく、首を刃物で切りつけられたことによるものと判明した。この点を男に追及したところ、男は「事故前夜(7月4日夜)に殺害した」と自供。その後に無理心中を図ろうとしていたことがわかった。
だが、クルマを転落させた際、男はシートベルトを着用しており、皮肉にもこれによって車外放出を免れるばかりか、致命傷に至る負傷もしなかった。崖から飛び降りたのは7月5日未明とみられているが、少なくとも約10時間は壊れたクルマの中にいたようだ。