イモビライザーがあってもクルマは盗める…裁判所が判断

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「イモビライザーがあるから盗難は不可能」と判断し、車両保険の支払いを拒否した損害保険会社に対し、奈良県香芝市内に在住する男性が保険金約500万円の支払いを求めて起こした民事訴訟の判決が13日、大阪地裁で開かれた。裁判所は損保側に全額の支払いを命じている。

判決によると、原告の男性は2004年3月21日の午後、自宅近くの月極駐車場から自己所有のトヨタ『ランドクルーザー』が盗まれていることに気づいた。駐車場には同日の午前2時15分ごろにクルマを入れており、約12時間の間に盗まれたとみられる。

その後、男性は契約する損害保険会社に対して「クルマが盗まれた」と報告。車両保険金約500万円の支払いを命じたが、保険会社側は「当該車両には高度なイモビライザーが装着されている」、「イモビライザーのID数は100-200万ともいわれており、駐車場でイモビライザーを解除するのは不可能なので盗難とは認められない」などと回答。保険金の支払いを拒んだため、男性が大阪地裁に保険金の支払いを求めて提訴していた。

13日の判決で大阪地裁の島田佳子裁判官は、「イモビライザーを解除するには相当の時間と高度な技術を要すので、盗難現場の駐車場で解除されたとは考えにくい」としながらも、「レッカー車で車両ごと持ち去った可能性は捨てきれない」と認定。「クルマが実際に無くなっていることから盗難の事実を覆すのは困難で、原告の主張は信頼できる」と判断して、損保側に請求全額の支払いを命じている。

「イモビライザーがあるから盗難は不可能」と保険会社側から回答され、保険金の支払いを拒まれるケースは増加しており、同様の訴訟が全国で数件起こされている。今回の判決では「レッカー車などで持ち去り、イモビライザーごと交換すればエンジン始動は可能」とも認定しており、同種の裁判に与える影響は大きいとみられる。

《石田真一》

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