2006年のGMとフォード…追いつめられたビッグ2

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アメリカの自動車メーカー大手2社のGMとフォードは、2005年のアメリカ市場での販売台数が前年比マイナスとなった。GMとフォードの販売台数は、それぞれ3.7%、5.0%のマイナスで、プラスになったダイムラークライスラーや日本メーカーとは対照的だ。

GMは、自動車部門の不振で2005年第3四半期(7-9月)で16億ドルの赤字を計上。2008年までに3万人のリストラと、12工場の閉鎖・減産などのリストラ策を打ち出した。また、フォードも2005年第3四半期(7−9月)に2億8400万ドルの赤字を計上し、2005年通期決算では、大幅な減益となる見通しだ。このため、この2社の社債は、大手格付け機関から「投資不適格」との判断をくだされた。

この2社の決算に共通するのは、本業の自動車部門の赤字を、金融部門で埋めているという実態だ。まず、GMの2005年1-9月の9カ月では、自動車部門は60億ドルの営業赤字だが、金融部門の22億ドルの黒字のおかげで、全体の営業赤字は38億ドルとなった。

フォードの2005年1−9月も、全体としては18億ドルの営業黒字だが、実態は、自動車部門の営業赤字16億ドルを、金融部門の黒字35億ドルで補っている格好で、本業の自動車部門がかなり厳しい状態にあることがわかる。

この2社のどちらが危機的かと言えば、営業赤字に陥ったGMだろう。GMの2005年9月末時点の手元流動性(現預金+市場性のある有価証券)は558億ドル。2005年7−9月の3カ月の赤字が16億3300万ドルだったことから、これを12カ月に換算すると65億ドルの赤字となる。もし仮に、このまま何も手を打たずに、この水準の赤字が続いたとしたら、GMの手元資金558億ドルは約8年6カ月で食いつぶされる計算になる。

一方のフォードは、手元資金(現預金+市場性のある有価証券)は368億ドルだが、GMよりは赤字の額が小さく余裕があるのかもしれない。しかし、日本メーカーの攻勢などでアメリカ市場での販売競争が厳しくなるのは必然で、生き残るためには、本業の自動車部門を立て直さなければならないのは言うまでもない。

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