一般道でじっくり乗ったのは、318psの『IS』350。文句なしに最速のレクサスである。
といっても、そこはレクサスだから、蛮カラなスポーティさとは無縁だが、街なかでも高速道路でも、とにかく意のままに加速が利く。BMWストレートシックスのような“スイート”な回転フィールこそもたないものの、料金所グランプリではBMW『330i』に後塵を浴びせることができる。パドルシフト付き6段ATのイージードライビングで、『ランエボ』や『インプレッサ』WRX並みの速さが手に入る。日本車きってのスピードセダンである。
ただ、試乗した“バージョンS”のスポーツサスペンションは、高級車にしては乗り心地の洗練が足りない。もう少しフラットな落ち着きとしなやかさがほしい。500万円カーと思うと、内装もありがたみが薄い。『GS』シリーズ以上に、ボクにはメッセージのよくわからないクルマだった。カッコも『クラウン』に負けていると思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★☆☆
下野康史| モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。