【池原照雄の単眼複眼】海外生産が1000万台突破。で、日本市場は?

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国内・海外ともに大台の自動車王国

日本自動車工業会の正式な統計は今月末に発表されるのだが、2005年の日本車の海外生産が初めて1000万台に達した。同年の国内生産約1080万台に匹敵する規模であり、来年には内外生産の逆転も確実。欧米の自動車産業大国でも前例のない「グローバル分業」が確立されたわけであり、21世紀の日本車の持続的な成長力を展望させる。

昨年の世界市場は6200万台規模と推定されており、世界で売れた3台に1台が日本車だったことになる。メーカー各社を母国別に分類した生産台数も日本はトップ。ダイムラークラスラーの北米クライスラー部門を米国籍に置き換えた場合でも、昨年は日米がほぼ肩を並べる水準となった。

2005年は日本が名実ともに世界の自動車王国になった転換点といえる。同時に1国の自動車生産が内外逆転するという現象はなく、自動車産業史でも前例のないグローバリゼーションを推し進めている。

◆ホンダのオハイオ工場が転機

日本車の海外生産は、1960年代に東南アジアなどで、KD(ノックダウン)方式によってスタートした。現地生産拡充の転機となったのは82年。ホンダが米国オハイオ工場で『アコード』の生産に踏み切ってからだ。

これが引き金となって、日本の主要メーカーは80年代末までに北米工場進出を果たした。日本車の海外生産が100万台を突破したのは86年。さらに500万台の突破が95年だから、この10年で倍増したことになる。

企業別では、ホンダと日産自動車ですでに内外生産台数が逆転しており、スズキも今年には海外が国内分を上回る。国内能力を再度拡大したトヨタ自動車でも、米テキサス工場などが本格稼動する来年には逆転する。

◆日本市場の開拓では努力不足

日本企業の徹底的な現地化は、新興経済諸国の自動車工業振興でもイニシアチブを握り続けることになる。すでに市場が立ち上がった中国に続き、残るBRICs諸国でも日本メーカーの存在感が一段と増すことになろう。

世界市場でもっとも「ご愛顧」を得ることができるのは、現地生産だけでなく各国でのマーケティングやディーラーシップの確立でも熱心に取り組んできたからにほかならない。

翻って、足元の日本市場が伸び悩んでいるのは、メーカー各社のアプローチがどこか間違っているからだろう。「成熟市場」や「少子化」と諦観するのでなく、とくに若年層の消費を呼び戻す魅力あるクルマや営業手法の開発に本気で取り組むべき段階にきている。

《池原照雄》

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