【神尾寿のアンプラグド】スマートIC、カーナビで利用拡大

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【神尾寿のアンプラグド】スマートIC、カーナビで利用拡大
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今月1日、筆者は九州エリアにおける高速道路SA・PAのFeliCa決済導入実験の取材をしてきた。その記事はすでに掲載済みだが、FeliCa決済以外に須恵パーキングエリアのスマートIC社会実験を視察してきた。

周知のとおり、スマートICとはETC専用のインターチェンジのことで、小型で低コストであることが特徴だ。これを一般道に隣接するパーキングエリアに設置し、ランプ構造を省くことで、コストをかけずに高速道路の利便性を向上させるのが、現在、行われている「スマートIC社会実験」の要旨である。


◆休日よりも平日の利用者が多い須恵PAのスマートIC

スマートICは全国各地で社会実験が行われているが、須恵PAはその中でも利用率が高いのが特徴だ。筆者が視察したのは平日のお昼頃、しかも30分程度の時間であったが、スマートICのゲートを次々とクルマが通っていった。乗用車はもちろん、トラックなど商用車も多い。

須恵PAのスマートICにおける2006年3月の平均利用台数は、休日1380台/1日、平日2110台/1日だという。「休日よりも平日の方が多い」のである。

西日本高速道路株式会社、九州支社広報グループの福冨章氏は須恵PAのスマートICについて、「須恵PAは九州でも出入交通量が1番目の太宰府ICと2番目の福岡ICとの間に位置し、須恵町が福岡市内のベッドタウンの役割も持っていることから、主に通勤・通学や業務目的で利用されています。また、近くに大型商業施設もあり、休日には買い物・レジャー目的の利用もされている」と話す。

平日の利用数が多いことは、地元住民の生活に根付き始めていることの表れだろう。その点でスマートICのメリットは、高速道路沿いの商業施設やベットタウンを中心に大きいと言える。ロードサイドビジネスの新たな導線としての効果も見逃せない。

須恵PAスマートIC社会実験は、利用率が高く、ユーザーの利用継続を求める声も大きいことから、2006年9月30日まで実験期間を延期。今後は恒久化を目指すという。須恵PAのように社会実験継続と恒久化を目指す動きは、全国のスマートIC導入箇所で起きている。


◆カーナビ対応が休日利用を増やす

このように概ね好評なスマートICであるが、「休日よりも平日の利用が多い」ことは、ひとつの課題を示唆している。それは地域住民以外にはあまり存在を知られていない、すなわち「認知度が低い」のだ。さらに問題なのが、多くのカーナビがルート設定のデータとしてスマートIC情報を持たないことである。

須恵PAの例を見ればわかるとおり、スマートICは通常のインターチェンジを補完する形で設置されているため、本来ならば休日のドライバーにもメリットになる。しかし、カーナビがスマートIC情報を持たなければ、それを使ったルートは設定されようがない。

カーナビメーカーにしてみれば、スマートICは期限付きの「社会実験」という扱いであり、対応しづらい状況なのは確かだろう。各高速道路会社および各スマートIC社会実験実施協議会はできるだけ早く恒久化の議論を終える必要がある。

一方でカーナビメーカーは、今後スマートICのような簡便なシステムが、交通状況やユーザーニーズに応じて短期間で設置される可能性を考慮すべきである。低コストかつリアルタイムで地図データを追加・更新できる仕組みが、今後さらに必要になっていくのではないだろうか。

《神尾寿》

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