【池原照雄の単眼複眼】日産がスズキに見せる「忍耐と謙譲」

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【池原照雄の単眼複眼】日産がスズキに見せる「忍耐と謙譲」
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◆商用車は「ノー」と答えたスズキ

日産自動車がスズキと業務提携を拡大することで合意した。日産が一方的に調達していたOEM供給を相互に、かつ国内外に広げるとともに、海外工場での受・委託生産も行う。日産は4車種目となる念願の軽自動車を年末から調達する一方、時期は未定だが成長市場インドへの本格参入に当たり、スズキの工場に日産車を生産委託する。

提携拡大は、不振の国内で市場拡大が続く軽自動車の品揃えを増やしたい日産が「昨年夏に申し入れていた」(日産の志賀俊之COO)。日産は2002年4月にスズキから『モコ』(スズキの『MRワゴン』)のOEM供給を受けて軽市場に参入した。その後、軽商用車も加えるため両社は交渉したが、これにはスズキが「ノー」の回答だったという。

商用車は農協や法人向けが多く、安売りで「市場を壊されたら元も子もない」(幹部)とスズキが警戒したからだ。結局、日産は、経営再建途上でとにかく生産台数を稼ぎたかった三菱自動車工業に調達の道を求めた。


◆売り手市場での交渉に

今回、スズキと乗用車の追加で合意したが、モデル決定の主導権はスズキ側にあるようで、「当社は軽で生きているので(何を供給するか)慎重に検討したい」(スズキの津田紘社長)という。表面上は「ウィンウィンの関係」(両社)を強調するものの、過去最高のペースが続く軽だけに「売り手市場」だ。

ルノー傘下になる以前の日産だったら、こうした交渉は、まずプライドが許さなかったろう。それでも日産は忍耐強く調達する。「OEMであれば設計も生産もする必要がない。(軽生産のために)国内に過剰能力を抱えるのは破壊的行為」(カルロス・ゴーン社長)というトップ判断があるからだ。


◆将来を見据えたゴーン社長の深謀遠慮?

海外での生産委託についても、日産が早々にインドを決めたのに対し、スズキ側は「(鈴木修)会長は自社工場の生産がいっぱいになってから、(日産に)お願いしようという方針」(小野浩孝取締役)と温度差がある。

それだけに、インドで断トツのスズキから生産方式や部品調達を学びたいのだという日産側の熱いメッセージが伝わる。日産が、忍耐と謙譲の精神でスズキにアプローチするのは、GMとの資本提携関係が希薄になったスズキとの将来を見据えた、ゴーン社長の深謀遠慮と見ることもできる。

《池原照雄》

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