神様はブラジル人…ジーコ監督、忍耐の ワールドカップ

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神様はブラジル人…ジーコ監督、忍耐の ワールドカップ
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今回のワールドカップでは、通訳がグラウンドに立てない決まりになっているため、ジーコ監督がどのように采配を振るのかが懸念事項となっている。ブラジル生まれの三都主選手がいるのだし、中澤選手だってブラジルへ留学していたことがあるのだから、監督の指示を理解して仲間に伝えることくらいはできるだろう。むしろ心配なのは、選手たちに見られる主体性の希薄さである。

中田英寿選手は、マルタ戦の後で、「走らないことにはサッカーはできない。その根本ができていない。足りないのは気持ち」と悔しさを滲ませたコメントを残した。まさか、日本の選手に勝つ気がないわけではあるまい。しかし、「勝つために何をすべきか」ということを行動に移しているようには見えないのである。

日本人は「何をすべきか」を教えるのが監督の役目と考えているのであろうけれど、日本人以外のサッカー人たちは、「何をすべきか」は選手自らが工夫してのみ、見つけられるものと考える。もしやる気があるのであれば、「指示待ち」でいられるはずがないからである。

「鹿島時代に厳しく選手を指導したジーコが代表監督になったとたん教えなくなってしまった」という批判めいたことが週刊誌などに出ているが、このことは日本人のサッカーに対する認識の違いを表している。ジーコが鹿島時代に厳しかったのは「チームメート」に対して接していたからであり、今は監督になったからこそ口出しをしなくなったのである。

かつて磐田でプレーしたドゥンガは、1998年にブラジルに帰国した際のインタビューで、「日本人は相手チームのフリーキックで壁を作らなければならない時に、きっちり9.15メートル離れた場所に壁を作るんだ。それで、僕が前のほうで1人でがんばっていると、『もっと後ろだよ』と呼びに来るんだからびっくりするよ」と「異国における不思議な体験」について語っている。

「『距離が短いかどうかは審判が判断すればいいんだ。俺たちは相手のボールを止めることにだけ集中すればいいんだ』って何度も教えなければならなかったよ」。ほかでもない、“ジュビロ黄金期”のエピソードである! そう言えば、国際大会などで「フェアプレー賞」を受賞して喜んでいる日本人の姿もブラジル人には理解できない価値観であるようだ。

ジーコ監督は、よく「私は忍耐ということを日本人から学んだ」ということを口にするが、これは「日本人が忍耐を態度で示した」ということではなく、「ただひたすら耐えてます」というような意味で言っているような気がする。選手たちは本戦でも成長するはずだ。次は「耐えた甲斐があった」というジーコ監督のコメントを聞きたい。

筆者紹介:高木耕(たかぎ・こう)---神田外語大学専任講師。過去にマラカナン・スタジアムに100回以上通ったことと、テレビでビスマルク選手の通訳をしたこと、通訳として参加したあるイベントでキーパーをやらされ、当時小学6年生だった伊東輝悦選手にゴールを決められたことがあるのが自慢。大学ではポルトガル語を教えているが、学生にジーコ監督の物まねを仕込んで喜んでいる。3度のメシより好きなサッカーでメシを食っていくのが未来の夢。

《高木耕》

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