大矢アキオ『喰いすぎ注意』…ジャングル食堂の熱い夜

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大矢アキオ『喰いすぎ注意』…ジャングル食堂の熱い夜
大矢アキオ『喰いすぎ注意』…ジャングル食堂の熱い夜 全 6 枚 拡大写真
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一触即発状態、あわや?!

夜9時前になると、地元の男たちが続々と店内にやってきた。何人かは、フレンチブルーのシャツに身を固めている。彼らはワールドカップのフランス−韓国戦をテレビ観戦するため、ジャングル食堂に集結したのである。

彼女が国籍を聞いたのは、ボクが韓国の人と間違えられ、つまらぬ衝突が起きて大事な食器が空中を飛び交ったりするのを心配したのかもしれない。他のお客たちにも、「あれはジャポネよ」と説明していたようだ。

フランスが前半9分で早くもゴールを決めたおかげで、お客たちはハイである。現地で観戦している気分になったのかは知らぬが、ボクがカメラのフラッシュを焚くたび、「ウォー!」という雄たけびとともに両手を上げた。家から巨大な鐘を持参してきたおじさんもいた。日頃は何に活用しているだろうか。クリスマスのとき、ハンドベル隊をやっているとも思えないのだが。

子供たちもハイになっていて、前半と後半の休憩タイムには、スーパーの広い駐車場を使ってサッカーごっこを始めた。小心者のボクは、まだ23カ月ローンが残るマイカーにボールをぶつけられないかヒヤヒヤしたが、彼らのボール捌きはなかなかうまく、見事に避けていた。結局その日の試合は、韓国も後半に1点を入れて引き分けに終わった。

それはともかく、「スーパーの併設食堂」にしては、料理がうまい。ソースの味ひとつとっても、出来合いの薄っぺらさがない。そのうえ前菜+メイン+プロバンス名産ロゼワインの定食がいまどき10ユーロ(約1450円)とは、良心価格である。ニースの目抜通りあたりじゃ、こうはいかない。

感激のあまり話すと、レジのそばにいたソーズ夫妻はこう話してくれた。「私と旦那は、この1月まで隣村で肉店をやってたんです。でも、売りに出ていたこの店の権利を手に入れたというわけ」実質的には、息子のルノーさんに切り盛りさせているようだ。ついでにいうと、さきほどのウェイトレスは、ルノーさんの妹・ジュリーさんだった。なるほど、敷地内といっても、スーパーとは別経営だったのか。それも元肉屋さんの経営とくれば、こりゃうまいわけだ。

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《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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