【池原照雄の単眼複眼】一般財源化先送りにディーラーが果たした役割

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【池原照雄の単眼複眼】一般財源化先送りにディーラーが果たした役割
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「集中」して第1関門を突破

道路特定財源の見直しを検討していた自民党のプロジェクトチームが、一般財源化の範囲や時期など具体案の決定を年末の2007年度予算編成時まで先送りすることを決めた。自動車業界や石油業界が一体となって進めてきた一般財源化反対運動は、今年前半のヤマ場を乗り切った。827万人に及んだ反対署名や約6万3000人のアンケートで示されたユーザーの声は重かった。

5月に日本自動車工業会の会長に就いた張富士夫トヨタ自動車会長は就任時、「当面はこの問題に集中して取り組みたい」と、危機感を示していた。自動車業界としては7日に閣議決定される予定の「骨太方針」に一般財源化の具体策が盛り込まれず、「先送りされれば及第」(大手メーカー幹部)としてきただけに、第1関門は突破というところだ。

◆短期で大量の声を集約した異例の取り組み

自民党のプロジェクトチームによる論議の終盤になって自工会会長ポストをトヨタが担うことになったのは、同社の政治とのパイプを考えれば大きい。だが、「先送り」の重石となったのは、自動車業界が昨年秋の東京モーターショー開幕当時から取り組み、年明けからは石油業界との共闘を進めたユーザーの声の集約だろう。

827万人の署名には張会長も「大変な数字であり、ユーザーの皆さんの意思表示に、われわれも大変心強く思っている」と感想を漏らしていた。4月前半に全国の新車ディーラー1万5000店余りが、6万3000人のユーザーに実施したアンケートに託された一般財源化反対(82%)の声も効果的だった。

自動車業界はあくまでも「ユーザーの方々の声を代弁する立場」(張会長)だ。しかし、これだけ短期間で大量にユーザーの声を集約する取り組みは過去には例がなかったと思う。

◆年末の税制改革では「重量税」が争点に

新車購入時にディーラーが国や自治体に変わって徴収する自動車の税金は「諸費用」という名目に埋没することが多い。ユーザーの痛税感は乏しく、道路特定財源を暫定税率のままに一般財源化しようとする暴挙も、個々のユーザーに説明して初めて知ってもらえるケースがほとんどだ。

それだけに、販売の第一線が果たした役割は大きく、これからも重要だ。年末の税制改革・予算編成では、特定財源のうち本来は目的税ではない自動車重量税の一般財源化に、財政当局は的を絞ってくるだろう。第2ラウンドはすでに始まっている。

《池原照雄》

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