ひさびさに『407』にのって、プジョーへの考え方を変えなければならないと思った。フランス車特有のフワフワとした猫足は走りに弱い、なんて固定観念があったのだが、407はじつにしたたかに走ることを知ったのだ。
乗り心地はたしかに上質だ。路面のうねりを巧みに吸収する。船が波を乗り越えるときのように、フワッとする感覚は心地いい。これはいかにもプジョーらしい。だがコーナーで頼りなく腰砕けになることがなく、ロール剛性もじゅうぶんに確保しているのである。けしてガチガチではなく、だがコーナリングも得意なのだ。乗り心地がいいのに、走りもいい、ってわけ。驚きはここにあった。
そういえばかつてのプジョーには、『405 MI 16』という走れるミドルセダンが存在していた。俊敏なフットワークが自慢のマシンだった。それを思い出してしまった次第である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★☆
木下隆之| モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。「ジェイズな奴ら」を上梓するなど、作家の肩書きも。