【神尾寿のアンプラグド】FeliCaクレジット 急成長の狼煙

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キャッシュレス市場の成長余地は大きい

トヨタファイナンスは12日、FeliCaクレジット決済サービス「QUICPay」を搭載した一体型カードを発行することを明らかにした。「TOYOTA TS CUBIC CARD(TS3カード)」をはじめとするトヨタファイナンスが発行するすべてのクレジットカードにおいて、今後、QUICPay内蔵型に切り替えていく。

QUICPayはソニーが開発した非接触IC技術「FeliCa」を使い、専用の読み取り機の上に“かざす”だけで支払いができるクレジット決済サービスの一種だ。この分野では、QUICPayのほかに、NTTドコモと三井住友カードが推進する「iD」、UFJニコスが推進する「スマートプラス」などがある。

同じくFeliCaを使った決済サービスには、JR東日本の「Suica」やJR西日本の「ICOCCA」など公共交通系のIC乗車券/電子マネーや、ビットワレットの「Edy」などがあるが、こちらはプリペイド(前払い)である。一方、QUICPayなどFeliCaクレジット決済は、クレジットカードと紐づいたポストペイ(後払い)になる。

日本のクレジットカード市場は現在、約27兆円の規模があるが、これは個人消費の総計のうちの約9%にすぎない。これをアメリカと同じ約24%まで伸ばせれば、45兆円の新たな市場が生まれる。FeliCaを使ったクレジット決済サービスや電子マネーは、すべてこの未開の「キャッシュレス市場」の開拓を目指している。あらゆる産業が成熟・飽和する中で、キャシュレス市場の成長可能性は大きい。

例えば、iDを推進するNTTドコモは、FeliCaを搭載した「おサイフケータイ」を率先して開発・販売し、自社がイシュア(クレジットカード発行会社)になるクレジットサービス「DCMX」を開始するなど、この分野の獲得に本腰を入れている。

◆トヨタファイナンスの本気で市場が動く

このFeliCaクレジット決済市場の可能性に、トヨタファイナンスも「本気」になった。

同社には現在約560万人の会員がいるが、今回の一体型カードの導入により、既存ユーザーと今後の新規ユーザーの両方でQUICPayユーザーを増やしていく方針だ。トヨタファイナンスは今年度末までに85万人、その後は1年で100万人以上のペースでQUICPayユーザーが増えると予測している。

現在、FeliCaクレジット決済で最も会員を獲得しているNTTドコモが「7月末時点で50万人」(ドコモ広報部)であり、今年度中に100万人獲得が目標であることを考えると、トヨタファイナンスの会員増加ペースはかなり速い。

今後、ドコモとトヨタが市場の両輪になり、FeliCaクレジット決済のユーザーを増やしていくだろう。また今回、トヨタファイナンスがリーダーライターの共用化や将来的なサービス拡大において、ドコモの推進するiDと手を組むことを表明しているのも興味深いポイントである。

◆ロードサイドで普及

トヨタファイナンスはQUICPayの本格導入にあわせて、加盟店開拓事業にも本腰をいれる。特に2007年3月にトヨタ本社機能が移転する名古屋市は、トヨタ社員のほぼすべてがトヨタファイナンスのユーザーであることもあり、QUICPayの対応店舗や対応サービスを急増させる方針だ。

またトヨタファイナンスのクレジットカードは、トヨタ販売会社で多くの会員獲得を行っているため、全国的にガソリンスタンドをはじめとするロードサイド市場での加盟店獲得も図っていく。

これまでのFeliCa決済はSuica電子マネーなど公共交通の電子マネーのイメージが強く、自動車業界関係者には特別な関心を持たなかった人もいるかもしれない。しかし、ドコモが本腰をいれて市場開拓をし、トヨタファイナンスも本気になったことで、FeliCaクレジットサービスが大きく動き出す。さらに電子マネーのEdyも、各高速道路会社での採用が相次いでいる。

クレジットと電子マネーとの区別なく、FeliCa決済市場そのものがロードサイドまで広がるのは、もはや時間の問題だ。自動車ビジネスにとっても、FeliCa決済サービスは無視できない分野になるだろう。

《神尾寿》

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