ホンダは軽自動車を単純に軽自動車の枠内で考えるのではなく、普通のクルマとして作っている。そんな風に思わせるところがある。もちろんボディサイズや排気量は規格内に収めているが、それ以外の部分では意欲的なクルマ作りが目立つ。
『ゼスト』も実際に走らせた印象は、そうした好ましいものだった。とくに印象的だったのは落ち着いた感じの乗り味で、エンジンとグレードによって異なるチューニングが施されているが、試乗した2種類の14インチタイヤ装着車はいずれも軽自動車としては群を抜いてというか、軽自動車の水準を超えた乗り味だ。
エンジンもホンダ独自のi-DSIエンジンが採用され、電子制御4速ATとの組み合わせによる走りは滑らかで力強い。タウンユース中心で考えるなら自然吸気エンジンの搭載車でじゅうぶんだ。ただ問題なのは今の時点でハイトワゴンを出してきたこと。売れ筋とはいえ他社追従の姿勢はホンダらしさに欠ける。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★☆
松下 宏| 自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。