大矢アキオ『喰いすぎ注意』…モンテゼーモロ農園の若女将

自動車 社会 社会
大矢アキオ『喰いすぎ注意』…モンテゼーモロ農園の若女将
大矢アキオ『喰いすぎ注意』…モンテゼーモロ農園の若女将 全 8 枚 拡大写真
3
意外にマメなオジサン?

テイスティング客用に造られたウッドデッキから、農園を見渡す。広さは28ヘクタール。日本流に東京ドームと比較してみたら、5.5個分である。農園では前述のバローロをはじめ、発泡性のものまで数タイプのワインを製造している。

エレナは言う。「モンテゼーモロ家では、ときおり一族の大集会を開きます。去年トスカーナで催したとき、ルカも来ましたよ」。フィアット会長、フェラーリ会長兼社長、イタリア経済連盟会長、と3つの大役を独りでこなす“イタリアで一番多忙な男”が、親族の集まりにちゃんと顔を出すとは! 家族の絆強きイタリアといえばそれまでだが、ルカはああ見えて意外に気配りオジサンなのかもしれない。

ところでエレナの愛車は、日常の足と割り切って乗っている3代目フォルクスワーゲン『ゴルフ』である。イタリアでは、名家ほどギンギラな生活はせず、質素を善しとする。彼女のクルマはまさにそれである。そして、これまた本当のところは不明だが、一族にフィアット系を無理やり買わせないところもルカに好感が持てるじゃないか。

ちなみに、ボクが訪れたときは収穫の真っ盛りで、みんな猫の手も借りたい状態だった。ヘタをすれば、ボクもブドウ摘みをさせられていたかもしれない。にもかかわらず応対してくれたことに礼を言うと、エレナは、「私もこの時期はブドウ摘みを手伝わされるから『試験があるから』とかウソついて逃げてるんですゥ」と言ってお茶目に笑った。彼女のもうひとつの顔は、経済学部に通う学生だったのである。がんばれ女子大生女将!

筆者紹介:大矢アキオ Akio Lorenzo OYA --- 国立音楽大学卒。自動車誌『SUPER CG』(二玄社)記者を経て、96年からシエナ在住。イタリアに対するユニークな視点と親しみやすい筆致に、老若男女犬猫問わず多くのファンがいる。NHK『ラジオ深夜便』における軽妙な語り口も好評。主な著書に『イタリア式クルマ生活術』、『幸せのイタリア料理!』、『カンティーナを巡る冒険旅行』、訳書に『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(いずれも光人社)。

  1. «
  2. 1
  3. 2
  4. 3

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  2. シボレー『コルベット』がニュルブルクリンクで「米国メーカー最速ラップ」樹立
  3. 「強烈な需要がありそう」スバルの3列シートSUV『アセント』が今、SNSで話題に
  4. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  5. 2.5Lエンジンを搭載する『インプレッサ』登場、米2026年モデルに「RS」
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る