ダイハツの主力モデルである軽トールワゴン、新型『ムーヴ』(5日発表)は、全面新設計のシャーシに、省燃費性に優れた新世代「KF」エンジンという組み合わせ。その出来映えに、ダイハツの開発陣は絶対の自信を見せる。
「2490mmのロングホイールベースによる広い室内、サスペンションアームの取り付け部強化やエンジン搭載法をはじめといったシャーシ性能の強化によってもたらされた高い静粛性など、快適性は旧型モデルから着実に進化しています。すべてのライバルに対してアドバンテージを持っていると思っています」(新型ムーヴの開発関係者)
ダイハツのロングホイールベースモデルといえば、トールワゴンの『タント』や、タントのシャーシを使った“プレミアム軽”の『ソニカ』が思い浮かぶ。が、新型ムーヴを作るにあたり、ダイハツはタント系のシャーシを使わず、わざわざ別立てで新規にプラットフォームを起こした。晩秋に発売するとみられる軽セダンの次期『ミラ』も、ムーヴと同じ新プラットフォームになるという。
「ムーヴと同じようなスペックを持つプラットフォームやエンジンを作らないかぎり、他メーカーのモデルが新型ムーヴについてこれないでしょう。当面は大きなアドバンテージを確保できると思います」(前出の開発関係者)
プラットフォームの乱立は、ただでさえ利益率の低い軽自動車メーカーにとっては、収益性悪化にもつながりかねないが、ダイハツとしては来年創立100周年を迎えるのに合わせ、“軽自動車ナンバーワン”奪取を是が非でも果たしたいところ。昨年あたりからの怒濤の攻めはまさにその布石であり、ムーヴはその攻めの決定打という位置付けなのだ。もちろん、多額の開発費を投じて最新のテクノロジーを逐次投入しても、新車価格が大きく上昇するわけではない。ユーザーにとってはおトクきわまりない話である。