ダイハツの最量販モデルであるトールワゴン、新型『ムーヴ』(10月5日発表)。「新次元への進化」(箕浦輝幸社長)を標榜するだけに、内外装のデザインにも気合いが入っている。
外装は、前方に伸びるAピラーの延長線の上にボンネットフードが乗るという初代のモチーフを復活させるなど、独自性を強調するデザインが採用された。初代はイタリアのデザインスタジオ、I・DE・Aのエルコーレ・スパーダ氏が原画を描いたが、新型は社内デザインだ。
デザイン部スタジオリーダーの山本叔弘氏は、デザインの狙いについて「軽自動車の限界を感じさせない“究極表現”にチャレンジしてみました」とと説明する。
「フロントのデザインもその一貫です。旧型もエモーショナルなデザインという点では悪くなかったと思いますが、造形は弱い紙細工のようなところもあり、あまり強さはなかった。新型はさまざまな曲率の面を組み合わせることで、表面に張りを持たせたのが特徴です。全体のフォルムについても、新プラットフォームを生かしたモノフォルム型で、伸びやかさを表現できたと自負しています」
「デザインの質では軽トップクラスだと思う」という山本氏がデザイン上のライバルとしてあえて挙げるのは三菱『i』(アイ)。
「i もリアミッドシップのプラットホームを生かして、好きなことをやってるなあという印象があります。販売上のライバルはもちろんスズキ『ワゴンR』ですが」(山本氏)
小家族であればファーストカーとしても充分に使えるユーティリティを持つムーヴだが、単なる実用車としての機能だけでなく、デザインにも相当の自信を持っているようだ。