道路の瑕疵が原因で発生したみられる事故で死亡した運転者の遺族に保険金の支払いを行った損保会社が、道路管理者の長崎県に対して損害の補填を求めた民事訴訟の判決が19日、長崎地裁で行われた。裁判所は一部の支払いを県側に命じている。
問題の事故は2005年5月6日午前に発生した。長崎市上戸石町付近の国道251号線で、当時71歳の男性が運転する乗用車がカーブを曲がりきれずに路外に逸脱。別の事故によって破損したまま修理されないままだったガードパイプに衝突。これを乗り越えて約8m下に転落し、男性は死亡した。
この男性が死亡した損保会社からは約2700万円が遺族に支払われたが、損保側は「ガードレールの補修を迅速に行わず、強度不足のまま放置されていたことが事故の一因である」と主張。現場の道路を管理する長崎県に対して支払った保険金の補填を求めて提訴していた。
19日に行われた判決で、長崎地裁の田川直之裁判官は「現場は事故多発地点」と容認。カーブでハンドル操作を誤った可能性の高い死亡男性の過失を75%、ガードパイプの迅速な修理を怠った県側の過失を25%と認定し、約630万円の支払いを県に命じるという原告(損保)勝訴の判決を言い渡した。