【伊東大厚のトラフィック計量学】路上駐車と渋滞 その2

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【伊東大厚のトラフィック計量学】路上駐車と渋滞 その2
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路上駐車取締り強化のCO2の削減効果は?

前回、路上駐車取締り強化で渋滞が減り、その短縮時間を金銭換算すると年間38万円に上るなど、都市内の自動車利用者にとって、大きな効果をもたらすことを示した。
渋滞が減ると、自動車の燃費が良くなり、無駄なCO2も出さなくて済む。路上駐車取締り強化で都市の渋滞が減ると、どのくらいCO2が削減できるのだろうか。

◆平均旅行速度とCO2

図は、平均旅行速度と、乗用車1台が1km走ったときのCO2排出量、燃費の関係を示したものだ。CO2排出量や燃費は、自動車の重さや性能、運転方法によって変わるが、燃費の値から、1800cc〜2000ccくらいの乗用車と考えて差し支えない。

図からわかるように、CO2排出量と燃費は、逆数の関係にある。ガソリンの場合、1リットル消費するとCO2は2.32kg排出される。乗用車の燃費が10.0(km/リットル)では、走行1kmあたりCO2排出量は232gである。

◆速度14.2%アップでは?

前回示したとおり、今年6月の路上駐車取締り強化で、平均旅行速度は、東京と大阪の平均で14.6km/hから16.7km/hへ14.2゛アップした。

この速度を図にあてはめると、14.6km/hではCO2は265g、16.7km/hではCO2は245g、走行距離1kmあたりの削減量は20gである。

都市内を1日50km、年間240日走る営業マンがいたとする。年間の走行距離は1万2000kmだ。年間のCO2排出量は、14.6km/hで3179kg、16.7km/hでは2944kgとなり、削減量は235kg、比率にして7%減だ。

燃費換算では8.76(km/リットル)から9.46(km/リットル)にアップする。先ほどと同じように、年間走行距離を1万2000kmとすれば、燃料は年100リットル節約できるので、ガソリン代は1万数千円浮く計算になる。ガソリン代の節約は、前回紹介した「時間の節約」とは別のドライバーのメリットだ。

路上駐車は、原因者も被害者もドライバー自身だ。路上駐車をやめることは、回りのドライバーの時間や燃料の節約と無駄なCO2排出を防ぐ、社会に対するエコドライブである。

《伊東大厚》

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