重傷ひき逃げ事故を別の人物が起こしたと偽証し、警視庁が誤認逮捕する原因を作ったとして、危険運転致傷や証拠隠滅、偽証などの罪に問われた22歳と21歳の男に対する判決公判が6日、東京地裁で開かれた。裁判所は2人に実刑を命じている。
問題の事故は2005年6月27日未明に発生した。信号無視を行った容疑でパトカーの追跡を受けていた乗用車が世田谷区用賀1丁目付近の国道246号を進行中、赤信号を無視して交差点に進入。交差道路を走行してきたバイクと出会い頭に衝突し、運転していた男性に重傷を負わせたが、クルマはそのまま逃走した。
警察では重傷ひき逃げ事故として捜査を開始。同年8月には目撃情報から神奈川県内に住む26歳(当時)の男性を逮捕したが、この男性は容疑への関与を否定していた。後の調べで「逮捕された男性が運転していた」という内容の証言を行っていた2人の男が真犯人だったことが判明。改めて逮捕するとともに、警察は男性の誤認逮捕を認めて謝罪している。
6日に行われた判決公判で、東京地裁の朝山芳史裁判官は「事故直後に逮捕された男性は身に覚えのない容疑事実で長期に渡って拘束され、有罪判決を受ける危険に晒された」と指摘した。
その上で裁判官は「他人を陥れた悪質な偽証で、刑事責任は重大であり、後輩の被告に裏切られた精神的苦痛は癒やし難い」として、事故当時にクルマを運転していて主犯とされた22歳の男に懲役4年6カ月の実刑を。事故当時は助手席に同乗し、警察に対して偽証を行った21歳の男に対しても懲役2年4カ月の実刑を命じている。