三菱の現状を考えると、『パジェロ』のモデルチェンジにとても潤沢な予算があったとは思えない。それでも、主にオンロード性能に磨きをかけたのは、輸出のメインマーケットをヨーロッパに絞ったからである。
じっくり試乗したのは、いちばん高いスーパーエクシードだが、たしかに旧型より身のこなしがひとまわり軽くなった。足がギュッと引き締まって、2.2トンを超す車重も、それほど意識させない。
新たにMIVEC化された3.8リッターV6は、可もなく不可もなくという感じだったが、3名プラス荷物で約400kmのツーリングをして、燃費はリッター9kmをちょっと超えたから、旧型より少し経済性は向上したかもしれない。
とはいうものの、この御時世に、オフロード色の濃い重厚長大SUVは、ツラかろうと思う。旧型は9年生きたが、あまり変わり映えのしないこのデザインが、果たしてそんなにもつだろうか。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★★☆☆
下野康史|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。