昨年11月、神奈川県横浜市旭区内で、トラックに積載された重機が基準よりも低い場所に設置された電線に接触、弾みで街路灯を倒壊させ、乳児を含む2人を死傷させたとして業務上過失致死傷罪に問われた43歳の男に対する判決公判が9日、横浜地裁で開かれた。裁判所は執行猶予付きの有罪判決を命じている。
問題の事故は2006年11月2日夜に発生した。横浜市旭区二俣川付近の市道で、トラックに積載されていた小型パワーショベルのアーム部分が電線に接触。運転手は気づかずにトラックを進行させたため、引っ張られるようにして街路灯が倒壊。近くを歩いていた親子2人を直撃した。この事故により、1歳の女児が頭部強打で死亡。42歳の男性が骨折などの重傷を負った。警察ではトラックを運転していた43歳の男を業務上過失傷害の現行犯で逮捕した。
道路交通法では積載物に380cmの高さ制限があるが、トラックに積載されていたパワーショベルはアームが伸びたままで、地上からの高さは425cmとなっていた。干渉した電線は同420cmの高さだったが、横浜市の基準では450cmより上に設置することが義務付けられており、問題の電線は設置した警備会社が取り付け高さを誤っていたことが後にわかった。
9日に行われた判決公判で、横浜地裁の深見玲子裁判官は「被告はアームの最上部が車高制限(380cm)を大幅に超えていることを認識しながらも電線との間隔を確認せず、安全確認という運転者の基本的な注意義務を怠った結果、事故を起こした」と認定した。
また、事故で死亡した乳児ついては「わずか1歳9カ月の命を落とし、無限の可能性を秘めた未来を奪われた。本人と父母の無念さは察するに余りある」と指摘しながらも、被告が事実を認め、反省の態度を示していることを重視。禁固2年(執行猶予5年)の有罪判決を言い渡した。