【伊東大厚のトラフィック計量学】道路からのCO2を測る 環状道路と東京の渋滞 その3

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【伊東大厚のトラフィック計量学】道路からのCO2を測る 環状道路と東京の渋滞 その3
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CO2を測るには詳細なデータが必要

道路の開通によるCO2削減効果を検証するには、どんなデータが必要なのだろうか。CO2は、交通量(走行距離)と走行距離あたりのCO2排出量から計算する。後者は、道路の種類や渋滞の有無に左右される旅行速度や車種によって異なる(図1)。正確な値を出すには、車種、時間帯、道路区間別の交通量と速度のデータからの積上げが必要になる。

◆渋滞情報のデータを活用する

テレビやラジオ、カーナビ(VICS)の渋滞情報を御存知と思う。VICSの渋滞情報は、現在3万4000kmの道路で提供されている。主要道路の総延長は19万kmなので、全国の2割弱に過ぎないが、都市内の道路に限れば、多くの道路がカバーされている。

渋滞情報は、交差点など渋滞ポイント周辺の交通量と所要時間データから作成され、24時間365日、自動収集されている。道路からのCO2の計算に、この渋滞情報のデータを活用しない手はない。交通量や所要時間データなどから、時間帯・道路区間ごとにCO2を計算し、開通前後で比較すれば、CO2削減効果を正確に評価することができる。

◆首都高速王子線の事例調査

筆者らは、東京23区のVICS情報を警視庁などから提供してもらい、王子線開通によるCO2削減効果を計算してみた。

図2は、データの提供を受けた道路である。首都高速は全線、一般道路はすべてではないが、主な路線のデータが揃った。交通量と速度データは、開通前後の2002年と03年の10月、それぞれ1時間毎に31日分、道路は、短いところでは数百メートル単位で上下線別に分けている。CO2排出量は、データが揃わなかった道路の分を推定し、さらに年間値に拡大し、年あたりの値とした。

◆王子線開通で2万〜3万トンCO2を削減

表1は、計算結果である。交通量は、首都高速が増え一般道路は減少、23区内全体で0.1%と微増、首都高速の利用比率は1%アップした。高速道路は、一般道路より燃費が良くCO2が少ないので、首都高速の利用がアップするだけでCO2は減る。

速度は、首都高速、一般道路とも、全体の平均値がアップし、渋滞が減少したことを示している。首都高速は、交通量が増えたにもかかわらず速度がアップし、交通集中の分散が伺える。

CO2は全体で2万〜3万トン削減(※1)された。交通量が増えるとCO2も増えるが、交通量の増加は僅かにとどまった。23区全体のCO2は、速度向上と首都高速の利用が増えた分、減少した。

(※1)削減量に幅があるのは、速度とCO2排出量の式(図1)を複数ケース計算したため

《伊東大厚》

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