【池原照雄の単眼複眼】今期業績予想は為替レートの置き方に注目

自動車 ビジネス 企業動向

きょう25日から自動車メーカー各社の2007年3月期決算が相次いで発表される。同時に公表される各社の今期(08年3月期)決算予想は、産業界の業績動向を占ううえで、ここ数日値動きが止まっている株式市場からも注視されている。今期予想では、各社が為替レートの前提をどの水準に置くかがポイントとなる。

乗用車8社の07年3月期は、連結営業利益段階で、5社が最高益を計上する。初の2兆円突破となるトヨタ自動車をはじめ、ホンダ(前々期の一時的要因を除く実質)、マツダ、スズキ、ダイハツ工業である。

これら5社は、08年3月期についても海外販売の着実な伸びに支えられ、為替要因を除けば増益となる可能性が高い。残る日産自動車、三菱自動車工業、富士重工業(スバル)のうち、経営再建の仕上げとなる三菱、米国工場でトヨタからの受託生産が始まった富士重工も増益に転じる見通しだ。

◆日米金利差の縮小をどう織り込むか

問題は、今期に始まったわけではないが為替変動の行方である。秋以降には日米の金利差が縮小、円ドルレートでは円高方向に向かうという見方ができるものの、業績予想の前提となるレートの置き方は例年になく難しく、経理担当者を悩ませている。

07年3月期の各社の期首予想では、1ドル=110円または同112円に収斂した。その前の期(05年3月期)が1ドル=113円程度だったので、1円ないし3円の円高方向で前提を立てたことになる。

07年3月期の各社の実績レートは1ドル=117円程度となった。1年前と同じ幅で円高を想定するなら1ドル=115円前後ということになる。ただ、日米金利差などの先行きから、今期は強めに円高を織り込み、1ドル=110円程度とする企業も出てきそうだ。

◆業績予想だけでは「実力」はつかみづらく

この1年で大幅な円安となった対ユーロについても、どの程度の円高を想定するのか悩ましいところだ。とくに欧州での収益ウエートが大きいマツダは、ユーロの触れが業績に直結する。

円ドルレートは07年3月期には前期比で約4円の円安だったが、ユーロ高円安が大きく進んだため、為替変動による営業増益要因はトヨタで約2000億円、ホンダで約1000億円に及んだ。

各社の想定レートには、例年になく幅が出そうで、単に業績予想を見ただけで「実力」はつかみづらくなる。業績予想が横ばいないし減益でもレートを強めの円高で想定している企業は、期中の為替動向次第では増益に転じることもある。また、その逆のケースもあろう。今期の業績予想ではそこに注目したい。

《池原照雄》

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