『207』が『206』よりもボディサイズアップされたことに異論を唱える声もあるが、実際には得られているメリットも多い。まずは大きくなったことで、伸びやかなエクステリアデザインと優れた居住性を手に入れている。
さらに全幅が広がったことでハンドリングも大きく進化した。プジョー独得の粘っこいロードホールディング性能を維持しながらも、アッパーボディの動きは最低限に抑えられているので、ハンドリングと乗り心地のバランスを高い次元で両立しているのだ。
BMWと共同開発したバルブトロニック付き1.6リットルのエンジンも、素直なドライブフィーリングを見せてくれ、走りの質感は206よりも数ランクアップした印象。
上級グレードのGTは3ドア5速MTだけのターボ車だが、ホットハッチではなく街なかからロングツーリングまで快適にこなしてくれるオールラウンドな快速ハッチだ。
新しい207は、大きくなることで得られるメリットを最大限に生かして、ひとクラス上のクオリティを持つコンパクトカーに進化したといえる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
岡島裕二| モータージャーナリスト
20代前半にレースの参戦資金調達のために自動車専門誌出版社に勤務。その後Web編集者を経て、2003年よりフリーモータージャーナリストに転身。レース経験を生かした試乗インプレッションと、貧乏生活から芽生えた価値観をもとに、クルマの本質を鋭く分析。