【神尾寿のアンプラグド特別編】BluetoothとITS ドコモ中村氏語る

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【神尾寿のアンプラグド特別編】BluetoothとITS ドコモ中村氏語る
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携帯電話とクルマの関係は、今どのような状況にあるのか。さらにBluetooth(ブルートゥース)携帯電話は今後さらに増えていくのか。NTTドコモ ユビキタスサービス部ITS推進室の中村康久氏が10日、神戸で開催された「シンポジウム モバイル2007」で講演。会場で行った単独インタビューをお届けする。

◆ハンズフリー機器は大都市で売れた

−−運転中の携帯電話利用規制の強化を含む、道交法改正から2年が経ちました。今回の講演もBluetoothとハンズフリーがテーマだったわけですが、この分野で大きな変化はあったのでしょうか。

中村 これは講演でも話しましたが、運転中の携帯電話利用は原則行わない方がいい。しかし、2年で携帯電話利用による検挙者数が90万人を突破する現状を鑑みれば、携帯電話キャリアとしてハンズフリーのソリューションを提供しないのは問題だと考えています。ハンズフリー機器をドコモ純正品として発売したのは、ドコモの社会的責任を果たそうという、社長の判断だったのです。

−−純正ハンズフリー機器はかなり売れたようですね。

中村 我々としては「売れなくてもいい」という考えだったのですけどね。予想以上に売れた。やはり、運転中にかかってきた電話を取らなければならない人は、少なからずいるようです。

−−購入者層はクルマ通勤者の多い地方が中心だったのでしょうか。

中村 いや、それが違うんですよ。首都圏や都市部での販売数の方が圧倒的に多い。また装着車種を調べると、ベンツやBMW、アウディなど輸入高級車が多いですね。

−−一昔前の「自動車電話」の利用者層みたいですね(笑)。クルマの運転中でも電話を取らなければならないというのは、やはりビジネス需要が高そうですから、高級車中心になるのかもしれません。

中村 あとドコモの純正ハンズフリーキットは接続中に充電ができるのですよね。この部分は高く評価していただいています。

−−一方、Bluetooth携帯電話については、P902i以降、パナソニックモバイル製の携帯電話に搭載されたことが、ドコモのBluetooth携帯電話出荷台数の急増につながりました。

中村 Pシリーズは1機種100万台くらい発売されますから、規模のインパクトは大きいですよ。あと昨年は海外メーカー製端末、我々は「帰国子女モデル」と呼んでいるのですが、こちらもBluetooth搭載機の底上げをしました。モトローラ製のM702iS/iGなどは、スタイリッシュなモデルとしてかなり人気が出ましたからね。

◆ドコモのITSにとって、2007年は勝負の年

−−そろそろ「Bluetooth標準搭載」でもいいのではないかと思いますが。

中村 ITS推進室としては、端末開発のセクションにBluetooth対応機を拡大するように常に依頼を出しています。私自身としても、主力メーカーの中からあと1社くらいはBluetooth標準対応のところが出てきてもいいと思っています。

−−しつこいようですが、ラインアップ全機種への標準搭載は難しいですか? 音楽の出力など、最近ではBluetoothの活用範囲も広がってきているわけですが。

中村 音楽分野はドコモも強化している部分ですし、ここでのBluetooth搭載のメリット訴求は行っていきます。しかし、その一方で最近の端末開発は「薄型化」や「コスト削減」の要求も厳しく、その中でBluetooth搭載機を増やしていく形になります。

−−Bluetoothはハンズフリー通話のほかに、テレマティクスではデータ通信でも使われます。こちらの需要も増えてきているのでしょうか。

中村 そうですね。テレマティクスで先行するトヨタ、日産、ホンダにお乗りの方を中心に、Bluetooth通信の需要は着実に増えています。我々としては、この分野をサポートすると同時に、次のステップとしては通信モジュール分野にも取り組んでいきます。

−−ドコモの車載通信モジュールというと、バスやタクシーのロケーション管理用のものが中心でした。トヨタのG-BOOKで採用されているKDDIに比べると、コンシューマー市場では出遅れていますが、この分野でも巻き返しを図ると言うことでしょうか。

中村 その通りです。FOMA通信モジュールの準備も整いましたので、商用車だけでなく乗用車でも、ドコモの通信モジュールを推進していきます。

−−今回のシンポジウムはBluetoothとハンズフリーというテーマで講演されたわけですが、ドコモのITS分野の取り組みにおいて、2007年はどのような位置づけになっているのでしょうか。

中村 私がITS推進室を担当して今年は3年目になるのですけれど、今年は勝負の年だと考えています。それはどういうことかと言うと、ドコモとしてITSを本格化する環境が整ってきた。

パケット料金定額制の導入から始まり、(高速通信技術)HSDPAの本格展開、携帯電話へのGPS標準搭載、Bluetooth搭載機の増加、自動車メーカー各社との関係強化をすることもできました。これらのドコモがITSを推進する上での環境が整ってきたので、今年は勝負にでます。そして、来年には大きな花火(製品・サービス)を打ち上げたい。

−−本日はありがとうございました。

《神尾寿》

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