2007年道路交通法改正案は、4月18日に参議院本会議を賛成多数で通過。ゴールデンウィーク明けの通常国会後半戦では、いよいよ衆議院で審議入りする見込みだ。改正案では、警察官に対する免許証の提示義務が広汎に認められることになる。
今回の改正案は、次の3本柱で構成されている。
●飲酒運転の厳罰化
●自転車の交通ルールの厳格化
●高齢ドライバー対策等の強化
しかし、今回の改正で最も注目したいのが「免許証提示義務」の強化だ。免許提示について、現行法においてその義務がある場合は次の通り。
●無免許
●飲酒運転
●大型免許無資格
●過労運転
●自動二輪の高速道路二人乗り運転無資格
これら、外形的に危険性が認められる場合のみに限定している。一般にはあまり知られていないが、上記以外、例えば違反時や検問時においても、免許証の提示は任意なのである。
改正法案では、これらに次のふたつを加えている。
●道交法違反
●交通事故
運転免許証の提示をめぐり、兵庫県警が運転者を不当逮捕したケースが、昨年4月の衆議院法務委員会でヤリ玉にあげられた。ここで警察庁は、法律で定めた5ケース以外に、免許証の提示義務はないと確認させられたうえ、全国の警察官へ法令遵守の徹底を求められた。この対策として、急遽、改正道交法に潜り込ませてきたのがこの条文である。
改正後には、きわめて軽微な違反であっても、とってつけたように疑いをむけられた場合には、警察官に対する免許証の提示義務が広汎に認められることになるのだ。
ドライバーからみて不当と思われる交通取り締まりにあった場合などに、免許提示の拒否ないし保留は有効な対抗手段のひとつだった。今後、そのようなケースでの「義務」濫用が懸念される。
施行は改正法の公布から3カ月以内となっている。