【伊東大厚のトラフィック計量学】道路交通はどこまで安全になるか? その2…世界一をめざす

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【伊東大厚のトラフィック計量学】道路交通はどこまで安全になるか? その2…世界一をめざす
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日本政府の目標「世界一安全な道路交通」

日本政府の目標は、
・平成24(2012)年までに、交通事故死者数を5000人以下(※1)とし、世界一安全な道路交通の実現を目指す
・平成22(2010)年までに、交通事故死者数を5500人以下、負傷者数100万人以下にすることを目指す
というものだ。

「世界一安全な道路交通」とは、交通事故リスク、すなわち“人口10万人あたりの交通事故死者数”が最も低くなることを指す。この指標は、2004年現在、日本は6.7人で第5位だ。交通事故死者数5000人以下が実現すれば、この値は4.5人となり、他国の値が変わらないとすれば、オランダ(5.0人)を抜いて第一位になる。(図1)

◆各国政府の交通安全対策の目標は?

日本の交通事故死者数5000人以下という目標は、2002年を基準にすると40%減となる。 だがオランダ、イギリスなど“人口10万人あたりの交通事故死者数”上位国も、それぞれ、意欲的な目標を掲げている。(表1)

交通事故死者数の削減率で比較すると、各国とも同程度の目標を掲げている。このため、 “人口10万人あたりの交通事故死者数”は、これからも順位は変動しないかもしれないが、目標が達成できれば、日本は世界トップクラスになるだろう。

なお、ヨーロッパの自動車生産国であるフランス、ドイツ、イタリアは、交通安全対策の数値目標が掲げられていない。

◆自転車、歩行者、高齢者の事故が多い日本

日本は、どのような交通事故が多いのだろう? 特徴的なのは、歩行中や自転車乗車中の死傷者の割合が欧米に較べ多いことだ。交通事故死者数のうち、自転車利用中と歩行中が4割以上を占め、その割合は欧米の倍である。(図2)

これを年齢別に見ると、自転車利用中と歩行中の多くは、65歳以上の高齢者が占めている(図3)。

今後、高齢者の人口は一層増加するだろうし、移動手段として自転車やシニアカー、バスや電車を利用する際もバス停や駅までは徒歩というケースも多い。

政府目標の達成など、日本が交通事故のない安全な国を目指すには、「自転車、歩行者、高齢者」の事故を減らしていかなければならない。

※1:政府目標の5000人は24時間以内の死者数。国際比較する上では、事故後30日以内死者数に換算する(換算方法:24時間以内の死者数×1.15倍で5750人)。

《伊東大厚》

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