VWアメリカが本社移転

自動車 ビジネス 企業動向

デトロイト近郊に米国本社を置いていたフォルクスワーゲン(VW)オブ・アメリカ社が、首都ワシントン近郊に移転することを正式に発表した。

移転の理由は東部各州が示した移転に伴うインセンティブの提示にある。日産がカリフォルニアからテネシーに本社を移転したように、国外の自動車メーカーに対する各州の誘致合戦は盛んで、法人税の値引きや土地の無料貸し出しなど、企業にとってメリットの多いインセンティブが飛び交っているのが現状だ。

今回VWが移転を決意したワシントン近郊は、ダレス空港を囲む企業エリアで、通称「ダレス・コリドール」と呼ばれており、今全米で企業、住宅の増加がもっとも盛んな場所のひとつ。また、VWとともにアウディ、ベントレーの本社もダレスに移転することになる。

近年のVWの米国内でのビジネスは順調とは言えず、2005年には11億ドル、06年には8億ドル弱の赤字になっている、と言われている。理由のひとつに上げられるのがユーロに対するドル安の傾向で、部品や完成車両のほとんどをヨーロッパから輸入という形を取っているVWにとっては大きな逆風となっている。

本社移転によるコスト削減、またユーザーにより近い場所でのセールスの展開など、移転によりVWが受けるメリットは大きい。

一方、モータウン、デトロイトが受けるダメージは深刻だ。VWのデトロイト周辺での雇用者は1500人で、その多くが職を失う結果となる。しかし、そうした希望退職者もVWのリストラ策の一環、と見る向きもある。

米市場により近い形で今後のビジネス展開を考えたい、というVW。本社移転でどのような変化が起きるのか、注目したい。

《Sachiko Hijikata, US editor》

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