【CEATEC07】情報機器のプラットフォーム標準化…マイクロソフト講演

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【CEATEC07】情報機器のプラットフォーム標準化…マイクロソフト講演
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CEATEC JAPAN2007「トレンドセッション オートモーティブセミナー」において2日、マイクロソフト ディベロップメント ITS戦略統括部 統括部長の平野元幹氏が「標準プラットフォームによる車載用情報機器の開発効率化」と題し、マイクロソフトの車載用標準ソフトウェアプラットフォームWindows Automotiveについて説明した。

平野氏は「自動車には他の機器にはない特徴があり、車載機器の開発を困難にしている」ことを指摘。開発期間の長さ、多種多様の仕様要求、それらにともなう開発コストの増大、ソフトウェアエンジニアの確保困難を問題点としてあげた。

加えて、機器のトラブルが人命を左右する可能性が高いという点もあり、HMI(ヒューマンインターフェース)や信頼性が非常に重要となる。そこで、自動車メーカーが自社ブランドのカーナビで特に力を入れているのがHMIだ。HMIには、安全に考慮した使いやすさに加え、たとえば高級車には高級感のあるデザインが求められるという。

HMIの開発負担は重い。HMIのコード量は、カーナビの全開発部分の10〜20%に過ぎないにもかかわらず、工数的には50%を超えている。中には59%にも達した例もある。

さらには、システムの安定性と性能チューニングの効率化、ハードウェア資源の最適配分とリアルタイム性の確保、ITS系や車体系との融合をにらんだ情報系の信頼性向上も必要となる。

これらを整理すると、車載用機器開発のソフトウェアプラットフォームとしては、汎用OSに加え、次の3つをカバーできる仕組みが求められることになる。

(1)HMIを効率化する仕組み
(2)リソース配分、リアルタイムチューニングの効率化
(3)信頼性向上の仕組み

そして、これを実現するソリューションが、マイクロソフトのWindows Automotiveということになる。

Windows Automotiveは、汎用OSであるWindows CEをベースに、車載用機器開発に必要とされる前述の3つの仕組みのうち(1)としてAUI(Automotive UI tool kit)を、(2)としてAST(Automotive System Tools)を加えたものとなる。

AUIは、HMIの開発効率化を実現する。従来の組込みシステムでは、HMIの細部をわずかに変更するにもプログラミングによって実現するしかなかった。一方AUIでは、HMIをスキンファイルにより対応する。したがって、スキンファイルを変えることにより、さまざまなHMIのバリエーションに対応することが可能となっている。

ASTは、CPU時間測定ツール、メモリ使用量測定ツールなど、システムのリソース配分の確認やチューニングのための仕組みを提供するものである。

残る信頼性については、指針が発表されている。

現在、車載機器といえば、カーナビが代表的である。しかし、諸外国では安価な携帯型ナビゲーション(PND)が普及しており、それらがカーナビ市場に取って変わろうとしている。日本にもその流れが押し寄せてきた場合、カーナビ開発のコストダウン要求は非常に厳しいものとなるはずだ。また、それらの安価なシステムへの対応上からも、単なるカーナビのみならず、通信機能と組み合わせた多様な情報機器(ITS機器)への進化も始まるはずだ。Windows Automotiveは、そのような新しい車載情報機器実現の強い味方となっていくはずである。

《小林直行》

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