住友金属、高級厚鋼板を量産可能にする鋳造技術を開発

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住友金属は、需要の旺盛な高級厚鋼板の製造のための革新的な連続鋳造技術である気孔低減法(PCCS法)と表層組織制御冷却法(以下SSC法)を開発したと発表した。これによって品質面での要求の厳しくなる高級厚鋼板の量産が可能となるとしている。

同社は、鹿島製鉄所第2連続鋳造機でこの2つの方法での生産を実用化し、今後、需要の増大が期待されるエネルギー分野向けの製品への適用も拡大していく。

連続鋳造法は、スラブと呼ばれる厚鋼板用母材の製造方法の主流で、厚鋼板の量産と安定供給のためには必要不可欠なプロセスとなっている。金型用高炭素鋼板や大型産業機械用鋼板などに使用される高品質極厚鋼板の製造では、スラブの中心部が凝固する段階で生じる気孔(ポロシティ)が弊害となり、連続鋳造法の適用は限界があり、従来は大型のインゴットを、分塊工程を経て、圧延機で成型して製造する方法を採っていた。

大入熱対策鋼や高張力鋼のような高級厚鋼板のスラブを製造する際には、連続鋳造工程で、鋳片の表面温度が800-900℃付近で表層に横ひび割れが生じていたため、スラブの検査や手入れ工程が必要となり、高級厚鋼板を量産するのに大きな弊害となっていた。

同社は、中心部気孔、表層の横ひび割れといった高級厚鋼板の製造上の問題を解決できる革新的な連続鋳造の技術であるPCCS法とSSC法を開発し、鹿島製鉄所の第2連続鋳造機で実用化した。

PCCS法は、スラブ鋳片の中心部がほぼ完全に凝固する直前でスラブ表面から圧下を加える。この時の鋳片表面と中心の温度差は約500℃前後で、より高温の中心部に圧下変形を与え、気孔を小さくする。これにより、中央部の気孔は通常鋳造材の約3分の1まで低減し、それに続く圧延工程で小さくなり、高感度の超音波欠陥検出試験に合格した。これにより通常の連続鋳造機と圧延ラインを使って、高能率かつ短いリードタイムで極厚鋼板の製造およびエネルギー削減が可能となった。

また、連続鋳造では従来、鋳込み時間の経過とともに徐々に鋳片を冷却する方法をとっていたが、横ひび割れ防止対策として、鋳型を出てから早期に鋳片温度を約800℃程度まで急冷却し、その後復熱するSSC法を開発した。これは鋳片の表層全面に横ひび割れの生じにくい制御組織で被覆することで表層の割れを防止する方法だ。

《レスポンス編集部》

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