宇部興産、英国ICL社と技術ライセンス契約を締結

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宇部興産は、英国のICL社とPUD(水系ポリウレタン・ディスパージョン)に関する技術ライセンス契約を締結し、環境コーティング材料分野に本格参入すると発表した。

PUDは数十-数百ナノメートルレベルの微粒子が水中に分散した樹脂製品。各種塗料・コーティング材、人工皮革、接着剤、ガラス繊維集束材など、多彩な用途で年率5 - 10%の成長を続けている。最近では、特にVOC(揮発性有機化合物)排出規制に対し切り札となる材料の一つとして、自動車用内外装コーティングを中心に需要が急伸している。

宇部興産では2003年からPUDの研究開発を進めてきたが、市場の拡大に対応して、先行メーカーからの技術導入により事業化を早めることが得策と判断、欧州市場を中心にコーティング用途でPUDの製造・販売に長年の実績を持つICL社とライセンス合意した。

宇部興産はPUDの中間原料であるPCD(ポリカーボネート・ジオール)を既に日本とスペインで事業化しており、さらにPCD原料のDMC(炭酸ジメチル)と1.6ヘキサンジオールも内製している。DMCは宇部で増産対応済み。1.6ヘキサンジオールについては宇部、堺、スペインに続きタイでの工場建設を検討している。

機能品・ファインカンパニー(ファインケミカルビジネスユニット)内に今年4月に新設した「環境コーティング材料グループ」が顧客へのPUDサンプルワークを既に開始しており、既存製品の市場導入に加えて自製原料を利用し、個別ニーズに対応するカスタム・グレードの開発も積極的に推進していく。

供給体制は、当面の市場導入期にはパイロット設備とICL社へ委託生産で対応するが、年産2000トン規模の自社量産工場を2009年度半ばまでに国内に新設、稼働させる予定だ。

宇部興産では、環境コーティング材料をグローバルな戦略事業と位置づけており、PUDについて当面、国内およびアジア市場を主要ターゲットとするが、中長期的にはICL社との協力関係の拡大も含めて、世界的な製造、販売、技術サービス体制の構築を目指す。

《レスポンス編集部》

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