【ロサンゼルスモーターショー07】フォードモーター新CEO、ムラーリー氏が語る

自動車 ビジネス 企業動向
【ロサンゼルスモーターショー07】フォードモーター新CEO、ムラーリー氏が語る
【ロサンゼルスモーターショー07】フォードモーター新CEO、ムラーリー氏が語る 全 1 枚 拡大写真

今年のロサンゼルスモーターショーには、フォードモーターの新CEOに就任したアラン・ムラーリー氏が現れた。ボーイング社で製品製造のプロとして37年間を過ごし、今年ビル・フォード氏に請われてフォードに移籍したムラーリー氏。

その手腕が試されるのはこれからだが、同氏は自動車業界についてどんな思いを持ち、どんな勝算を抱いているのか。オープニングの基調講演で語った。

ムラーリー氏は、まずフォードの今年の第3四半期の結果について語り、非常に明るい見通しを抱いていることを明らかにした。

氏は、その理由として生産と需要のバランスを取ったこと、すなわち実際の需要に応じた生産能力へとリストラ、工場閉鎖を通して動いていることをあげる。その結果在庫が減り、業績は徐々に好転し始めた。

また、ユーザーが本当は何を欲しているのかを検討し、現在の石油高に伴いユーザーの志向が小型車へとシフトしているに合わせて『フォーカス』、『フュージョン』などの生産に力を入れ、需要と供給のバランスが取れ始めていることを強調した。さらに生産体制を整えることで、新型車の開発はこれまでの145%のスピードで進めることが可能になったという。

2009年に黒字転換を目指すフォードモーターが、今後製品製造の上でテーマにしていきたいのは「サステナビリティ」。国家のエネルギー保証、国外へのエネルギー依存の軽減などが強く訴えられている現在、環境問題とも照らし合わせながら燃費効率の良い車を作り、企業としての社会責任を果たして行くことが何よりも大事だ、と訴える。

そのためにフォードモーターは燃費の良いガソリン車、ハイブリッド、ディーゼル、プラグインなど幅広い技術開発を推進し、バッテリー開発にも力をいれてクリーンエネルギーの創造に注力する。最終的にはFCV、バイオ燃料を確立するのも視野に入っている。

この目的を達成するためのキーエレメントとしてムラーリー氏が挙げたのは、次の4つ。
1:代替燃料
2:自動車テクノロジー
3:価値(企業に、そして社会に利益をもたらす、の意味で)
4:アフォーダビリティ

そのために現在、そして今後フォードモーターが推進するのは、ガソリン・ディーゼルエンジン双方でより小型のエンジン、パワートレインの開発。車を全体に軽量化することが燃費向上につながるが、そのためには軽量でタフ、環境にも優しい素材の選択、開発から始める必要がある。

また燃料に関して、バイオ燃料のコストの安い開発方法、フレキシブルエネルギー利用の車の開発も急がれる。

ハイブリッドは現在利用できる最もエネルギー効率が良い技術だが、重量面で問題がある。1台の車に2つのパワートレインを搭載する2モードなど、どうしても既存の車よりも重量が大きくなるという課題をどうクリアするのか。プラグインの場合、チャージ時間の短縮も目的のひとつとなる。

将来のビジョンとして理想なのはハイブリッドFCVだが、それを実現するには社会的なインフラ整備も必要となるだろう。

こうした問題をひとつひとつクリアしながら、2009年に黒字転換という目先の目標を達成し、失ったマーケットシェアを取り戻すこと、それがフォードでのムラーリー氏の使命だ、と氏は演説をしめくくった。

《Sachiko Hijikata, US editor》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 日産『エクストレイル』e-POWERの9197台でリコール…発電停止と走行不能のおそれ
  2. 日産『フェアレディZ』の「レトロな仕様」に注目…土曜ニュースランキング
  3. 「初代に立ち戻った感じでよき!」ルノー『トゥインゴ』の新型予想が話題! エンジン車にも期待の声
  4. トヨタの小型ミニバン『ルミオン』、安全性を大幅向上…スズキからのOEMモデル
  5. 【スバル フォレスター 新型試乗】日本車の目覚しい進歩に舌を巻く…中村孝仁
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る