ボディのコンパクト化と軽量化が特徴の「スポルト」は、じつに活発に走るクルマになった。ダウンサイジングはドライバーの視点からも意識できる。しかも、軽量化の多くがバネ下に集中したことで、しなやかな足の動きが実現された。
ロール剛性がことさら高いわけでも、ダンパーの減衰力が締められているわけでもないのだが、ヒラヒラと街なかを駆け回りたくなるような、そんな活発な印象なのだ。
ボディやサスペンションのつなぎなどに、多少の弱さはある。だが、それが嫌みにはならずに、むしろヒラヒラと元気な印象に置き換えられているあたりに好感が持てた。
エンジンも心地いい。回すことで気持よさが得られるのは驚き。113psは非力には違いないが、回転計の針を高回転域に釘付けにしながら走らせるのも楽しい。せっかくなので、足をもっと硬めてみたいものだと思った。こんなコマネズミ、あってもいい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
木下隆之| モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。「ジェイズな奴ら」を上梓するなど、作家の肩書きも。